Yahoo!ブックマークに登録
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS
  • 環境
    • 連載一覧
    • 連載一覧
    • 連載一覧

骨や歯の成分で放射性物質を吸着・除去する新技術を開発 岡山大

 岡山大学の研究グループは28日までに、骨や歯と同じ成分のハイドロキシアパタイト(HAP)を使って、汚染水から効果的に放射性ストロンチウムを吸着・除去する技術を開発したと発表した。


 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、環境中に大量の放射性セシウムや放射性ストロンチウムが放出された。しかし、ガンマ線を放出するセシウム137と比べて、ストロンチウム90が放出するのはベータ線であるため、測定や解析には複雑なプロセスが必要であることから、汚染状況の把握や除染方法の研究が進んでいない。


 また、放射性セシウムは筋肉、ストロンチウムは骨にそれぞれ蓄積しやすいという性質の違いがあることから、生物学的半減期も異なり、内部被ばくの影響が懸念される。


 岡山大学・自然生命科学研究支援センターの小野俊朗教授らのグループは、骨や歯の成分で、リン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイト(HAP)に着目し、汚染水から放射性ストロンチウムを吸着し、固体化する技術を開発した。


 汚染水から取り除いた放射性ストロンチウムは、特殊な溶離液を使って濃縮・減容させて、筒状の容器に保管し少量の固体廃棄物として取り扱うこともできる。この技術は汚染水だけでなく、除染後の土壌や植物、焼却炉の灰などにも応用可能だ。


 小野教授は「HAPは人工骨や人工歯根に使われ、人体や環境に対しても安全な材料だ。今回の研究成果によって、遅れていた放射性ストロンチウムの調査が進展することを期待しています」と話している。

 

 なおこの論文は、ハンガリーの科学誌「Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry」電子版に掲載された。

ページのTOPへ