パーキンソン病、炎症物質で進行 京都・宇多野病院調査
神経難病であるパーキンソン病の進行に炎症性物質の血中濃度が関係していることを、国立病院機構宇多野病院の澤田秀幸臨床研究部長らのグループが患者の調査から突き止めた。体の炎症を抑える治療で病気の進行を遅らせることができる可能性があるという。米科学誌プロスワンで29日発表した。
国内に約15万人の患者がいるとされるパーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンを分泌する脳内の神経細胞が減ることで、手足の震えや体のこわばりなどの症状が出る。炎症が病気の進行に関係するとの報告もあったが、裏付けとなる患者のデータはなかった。
グループは、2004~07年に宇多野病院を受診したパーキンソン病の患者313人(平均69・1歳)について、血中の炎症性物質の指標であるCRP値と病気の進行との関連を調べた。その結果、血液1リットル中のCRP値が0・8ミリグラム以下だった全体の約3分の2の10年生存率は約70%だったが、それ以上だった人たちは50%未満だった。患者の年齢や発症からの期間といった影響を考慮しても、全体の傾向は変わらなかった。
澤田部長は「パーキンソン病の患者では、炎症を伴うような病気やけがは悪化につながる恐れがあるので、できるだけ早く治療するのが望ましい」と話している。
【 2015年07月29日 14時20分 】