質疑応答
ー数年前、私が知覧特攻平和会館を訪問した時に受けた印象は、プレゼンの印象と違っており、「総力戦」という表現も使われていなかったと記憶しています。悲惨なことであったというふうに描写されてはいましたが、ある意味で美しい犠牲と説明されている展示だと記憶しています。本日のメッセージとの違いについて説明していただければと思います。(ロイター)
霜出市長:今ご質問にありましたように、美化されているとお感じになっているということは、私どもの努力不足だろうと 反省を致します。現在も戦争の悲惨さ、命の大切さを前面に出して、アドバイザーも色々と説明をしているところでございます。
全国から小学生、中学生、高校生、平和学習で多くの方々が訪れて、そしてあの遺書を読んでいただいて、悲惨な戦争は二度と起こしてはならないと感じていただいて帰って頂いているところですので、誤解を招かないようにしっかりと取り組んで行きたいと思います。
ー私は平和会館を10年ほど前に訪れました。先ほどのご説明では、このような戦争は二度と起こしてはならないとおっしゃいましたが、では、誰がその責任を持っていたのか、ということも言うべきだと思います。平和会館の中ではそれには全く触れられていません。
繰り返してはならない、ということは、誰が責任を負うのか、どのように回避するのか、ということにも触れるべきだと思います。そういうことについては議論されているのでしょうか。(ドイツの記者)
桑代参事:南九州市は、遺族から寄贈された資料を保存している、いち地方自治体です。そのため、戦争責任については答える立場にないというところです。
シェフタル教授:私は知覧の歴史を研究していますが、その過程で、この施設の歴史的な背景も知ることになりました。平和会館は、博物館ではなく、追悼施設として始まりました。花を手向け、戦没者のために祈る場所から発展しました。
理想的なあり方としては、戦争責任の問題について取り組んでいくこともあるでしょう。私も取り組む用意があります。しかし、60年間の伝統があります。運営基準なども考えますと、取り組むのには時間がかかると思います。このプロジェクトが推進力となって、平和会館を世界各国からより多くの方に訪れていただくためにも、個人的には戦争責任について扱うべきだという、その考えには賛同します。
ー今回の申請の懸念点は、タイミングです。
今、政府が、やはり日本の近代化の遺産として、海外からしてみれば議論を呼ぶようなものを世界遺産に申請しています。そういった意味で、タイミングもすこし問題ではないでしょうか。イタリアの記者)
シェフタル教授:私も指摘しようとしていたポイントです。
しかし、私達の取り組みは、政府とやっているものではありません、南九州市と平和会館の独自のプロジェクトで、安倍政権発足前から始まっています。
確かに、ある意味では残念なタイミングではあります。国際的な世論があるのは事実ですが、私達の主張をアピールしつづけたいと思います。
ー大阪では、橋下市長の下で、博物館が歴史を書き換えなければならないとくことがありました。
おっしゃったような精神をこれからどうやったら維持できると考えますか。違う見方を持った、歴史修正主義的な圧力があったとしたらどうしますか。(スイスの記者)
霜出市長:そういう懸念もあろうかと思いますが、これは我々の平和会館としての方針でやっておることでございますので、いろんな方々から圧力があっても断固として我々は、これまで縷々お話したような主旨に基づいて頑張っていきたいと思っております。
ーお話を聴いて混乱しています。私は医師でもありますので、医師としての仕事は、人の命、自分の命を守ることです。しかしニューヨークでビンラディンが起こしたこと、それが中東に影響を及ぼし、そこから最近では「イスラム国」が出てきており、世界中の若者に参加を呼びかけています。特攻を美化することはないとおっしゃっていますが、そういった世界の流れをどのように止めることができるのか。伺いたいです(バーレーン大使)
霜出市長:ぜひ知覧に来て、遺書を見ていただきたちという強い願望を持っております。そうでないと、皆様方にご説明いたしましても真実は伝わらないという風に思っているところです。
やはり、若くして生きられなかった者達の生の気持ちを、知覧の特攻平和会館で触れていただければ、我々なりの気持ちは十分世界の皆さま方に理解していただけるのではないかと確信しています。
我々としましても、特攻の美化にならないよう、賛美にならないよう、頭に入れながら活動を続けているところです。 懸念が皆様方にありましたら、率直に言っていただければ、私どもも素直に改善したいと思っています。よろしくお願いいたします。
補足します。歴史というのは悪用することもできます。歴史を意図的に、自分の都合に合うようにしてしまう人もいます
シェフタル教授:起きてしまった歴史について、次の世代に任せるのが良いのでしょうか。またマンガや映画に任せるということだけでいいのでしょうか。そちらのほうが危険だと考えています。直接的な当時の記録をちゃんと残すことが大事だと考えています。
ー知らしめていくことのリスク、それは平和会館の目的自体にとってもリスクになると思います。記憶遺産にすることで逆に利用される可能性もあるのではないでしょうか。
そのような中、なぜ、これらを記憶遺産に推薦するのでしょうか。YouTubeなど、様々な形でメッセージを伝える方法があると思います。(AP通信)
霜出市長:登録しようしているのは権威のあるユネスコですので、多くの方が関心を持って、知覧にも来ていただけるのではないかと思っています。
シェフタル教授:私が知る限り、世界記憶遺産には、幸せな記憶もあるんですが、悲劇的な記憶もあるのです。第一次世界大戦の「ソンムの戦い」や、第二次世界大戦の「アウシュビッツ強制収容所」の史料です。人々がこれらをきちんと見れば、こういう世界は二度と見たくないと繰り返し思うんです。
ー中国が慰安婦関連の資料や南京事件の関係の資料を登録しようとしています。それについてみなさんのご意見はどうでしょうか。(ロイター)
シェフタル教授:私の個人的な意見ですが、歴史家としては、どこの国が努力すべきとかではなく、人類の不幸な時代の歴史についての資料でキチンと検証されたものであるかぎりは、どのようなものであれ登録すべきだと思います
霜出市長:これは大きな問題でありまして、いち地方都市の首長が言及すべきものではないと思います。お許しを頂きたいと思います。
ー特攻を美化するものではないと繰り返しご説明されていますが、言葉だけでは本当に美化していないか賛美していなか伝わらないと思います。具体的な行動であるとか、はっきりとわかる名称の付け方をされるといった予定はありますか(AFP通信)
霜出市長:シェフタル教授の方からお話がありましたように、ミズーリ記念館で、平和会館で収蔵している資料を展示しまし、アメリカの方々にも見ていただきました。
今後も、いろいろなところで展示会を開催して、一人でも多くの方に見て頂いて、理解していただくような努力をしていかなければと思っています。特に、外国の方々との連携も取りながら、真の気持ちをお伝えできればと考えております。 いろんな方々のお知恵も頂きながら、最大限の努力をしていきたいと思います。
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