東京地裁:審理中断し裁判員交代…弁護側の主張一転受け
毎日新聞 2015年07月17日 21時59分
弁護側が主張を一転させたために公判が4カ月間中断した裁判員裁判の判決が17日、東京地裁(田辺三保子裁判長)であった。裁判員と補充裁判員計8人のうち3人が中断後に「継続できない」と辞任。新たに4人を選び直して審理を再開する異例の展開をたどった。判決は弁護側の主張を退け、強盗致傷罪などに問われたルーマニア人の男(26)に懲役7年(求刑・懲役10年)を言い渡した。
男は、別の男らと共謀して昨年4月、東京都世田谷区の信用金庫前で男性の顔を殴り、現金4300万円入りのバッグを奪ったなどとされた。3月4日の初公判では起訴内容を認め、同13日に判決予定だった。
だが、弁護側が結審直前の同9日に「事件性を争う」と主張を翻した。このため証拠を整理し直す必要が生じ、田辺裁判長が中断と延期を決めた。弁護側は「事件は被害者と共犯者による保険金目的の自作自演」と主張。裁判員が交代したこともあり、証人尋問や被告人質問の録画映像を法廷で3日間上映した。
判決は「被害者と共犯者の通謀をうかがわせる具体的事実は何ら存在しなかった」とした。【山下俊輔】