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出版社に電子書籍のオウンドメディアづくりを提案するなら、こんな感じ

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こんにちは、きんどうです。「Kindleまとめサイトだけで1,000日間どうにか生計をたてた話」という電子書籍826日発売に向けて鋭意製作中なんですが、その中で考えていた『出版社さんにオウンドメディアづくりを提案するなら、こんな感じでやってみたい』というのネタをちょっとここに書き出しておきます。

本書の想定する読者対象が「編集者でキャリアを積みながら、電子書籍担当営業になった人」でして。そういう人の課題ってつまるところ「コストをかけずに、どう売上をできれば安定して立てるか」ですよね。

うち(kindou.info)にプロモーション的な相談や話を出版社からされる場合もあるのですが、わたしは「売れる/売れそうな本をたくさん紹介する」ことで数字を作っているので、特定の書籍についてはあまり力になれず。

現状、お金貰って書評書いて云々と時間をかけるよりも、売れそうな本を狙って紹介したほうが効率がいいほどなんで広告案件は断っておりますし。

そんなわけで、たいてい打ち合わせの最後に『貴社でメディアやって電子書籍担当者が販売力もったほうが早いですよ』というオチにもなるのですが「具体的にどうメディアを作った方がいいか」まで踏み込んだことが無かったので、今回はそのお話。わたしも別に商業メディア運営のモノスゴイ経験があるわけではないですが、電子書籍販売ならそこそこ語れますのでひとつの参考プラン程度で読んでください。

もし、出版社さんにオウンドメディアづくりを提案するならこんな感じ

まず、全体を軽くまとめると 1.なぜオウンドメディアが必要なのか 2.サイト運営の目的 3.具体的な手段 4.運用体制 5.予算感 の話。実際にプレゼンするなら提案書7枚以内には収めたい。

1.なぜオウンドメディアが必要なのか

まず前提の話ですが電子書籍の新刊発売数について。Kindle限定で言うと今年の7月19~25日で2,276冊発売されてるんですよ。1ヶ月間なら11,193冊ですね(それぞれ記事製作現在)。

何にもプロモーションせずに、この中から読者にストア上で発見されて、自然に売れていって何万部達成!なんてよほど運がいいか、作品が強烈か他の要因が必要だと思うんですよ

だから安定した数字を作るためにアクションが必要。ただ、今のところ電子書籍ってストア上のセールやキャンペーン以外にはプロモーション手法はほとんど確立されていません。

最近だと一部出版社を中心に作品ごとにランディングページをつくるなんて試みは増えてきていますが読者/潜在読者が普段から見るようなようなメディアではないので、そのランディングページにどう集客するかって課題があるように見えます。そもそも、ストアのサイト見れば一発で買えるような商品なんですからLPなんで不要じゃないかと。ストアにどんどんユーザーを送り込んだ方が話早いんじゃないかな。

そして、プロモーション手法が未熟な今だからこそシンプルにマーケティングの基本「AIDMA」を実行。むしろ購入に至るためのアクションが少ないという商品特性を活かしてA(認識)D(欲求)A(購入)、つまり「見た!欲しい!ポチった!」くらいのテンポ良くユーザーの行動を促す仕組みが重要

そして、この購買行動のテンポを良くするためには情報の発信側が信頼されている必要。これまでは人気のメディア/ブロガーに記事を書いてもらって~という広告や案件ベースでしたが、それでは発信元である出版社の信頼ゲージは増えません。だからこそ、出版社自身が読者の信頼を獲得するメディアを持ち、自らがゴールを決めるメディアを持つことが一番合理的なんです。

2.サイト運営の目的はシンプルに『本を売る』

出版社さんとひと口にいっても規模やスタイルはそれぞれ。ただ、おそらくすでに自社サイトや自社メディアは持ってるとは思います。それをどうこうする、となると話は大きすぎるのであくまでも「電子書籍営業部/編集部単位でメディアを持つなら」といったところですかね。

メディアの主な目的は『電子書籍の販売力強化』で新刊の初速確保と既刊(旧作)を新規層にアピールしていくこと。

記事作りの方向としてはメディア単体による『ファン・フォロワー・リピーターの獲得によるメディア自体の告知力の強化』と『自サイトやソーシャルメディアをやっている作家・マンガ家への告知に使うためのネタの提供』の2つが良いかと。

新刊・旧作を売るというのは、もうメディア自身の告知力と書き手側の力量なんでクソ頑張ればOK。最も大事なのは後者の『作家・マンガ家の告知ネタの提供』。これが爆発力を生む可能性があります。単純な話「新刊出ましたー」ってマンガ家さんは1回書いちゃうと翌日も「大事なことなので2回言います」とかやりづらいですが『出版社さんで特集ページを作ってもらいました!』『こんな書評を頂いています!』とかなら紹介できます。

上の例は適当な話ですが実際編集者や出版社が営業力を持つよりも、作家・マンガ家自身のほうがネットにおいては圧倒的な営業力があるのでその素材づくりをどうしていくか、というのが最大のキーになるんじゃないかなと感じています

実際、うちで紹介した記事を作家・マンガ家さんがRTされていると如実に結果に現れますから。彼らの立場にしても自分から「新刊でました買ってください!」というよりも「紹介いただきました」と告知するほうが気が楽だったりするようですよ。(ただ、この辺りはクリエイターによって考え方が違いますので実際に何かする時はそれぞれ確認をした方が良いかと)

3.具体的な手段はブログとTwitter

主に使用するメディアは2つ。『ブログ』『Twitter』のみ。というのも、マジで予算組んでオウンドメディアとしての体裁を整えてガッツリやるには電子書籍関連の部隊は予算面で辛いと思うので『はてなブログpro(年額約700円)』か『ライブドアブログ』で初期は十分かな。運営者側が慣れてきたらリニューアルというカタチでバージョンアップをするスモールスタート型でいいかと

また、個人的な経験と意見なのですけれど予算をかけて綺麗なサイトを最初から作っちゃうと読者側がサイト自体に慣れていないから『なにがあるかよくわからい』や、書き手側も『なにがどうなっているかよくわからない』となるかな。そもそも出版社の方でWebバリバリできまっせって人は少ないんですから。レンタルブログをちょっと気合いれて作り込むくらいのところからでいいんじゃないかと

Twitter』なら『Facebook』は?なんて話になるのですが、完全に独断なんだけども発信者側が実名や友達が多くないとFacebookって育ちにくと思うんですよね。

メディアとしてはより個と個のつながりが重要なため数字づくりが難しいので『Twitter』にしぼった方が早いと感じています。

むしろ『ブログ』やって『Twitter』やって『Facebook』『LINE』もできて~ とマルチにメディアを使い分けられて成功する自信がある担当者なら予算組んでガッツリやったほうがいいんじゃないかな。半端に手をだすくらいなら最初から絞ったほうがいいですよね。

4.運用体制は専任担当による土日問わずの更新

ゼロからメディアを予算かけずに成功させるならとにかくセンスもそうですが根性と犠牲が必要毎日48記事アップさせて練度をあげつつ、Twitterは常時監視させてメンションやタイトルなどのキーワードに反応する即レスの精神が重要

2,3日に1記事? 土日は休み? 何年かけてメディアを成長させる気ですか。1日でも早い成長ペースに乗せるために、序盤に地獄を見たほうが後からサイト運営は楽になります。息をするように更新しましょう。更新こそが人生です。

ただ、2年半のきんどうの経験から1日に大量に更新しすぎると読者側も疲弊するので、8記事くらいまでに抑えるのがベターと思います。最大8記事の中で練度をあげてヒットを狙う、とてもシンプルな挑戦です

あとは、業界の慣習なのか結構嫌がられるのですが書くなら実名かわかりやすいペンネームで『中の人感』が出るようにしたほうがいいですね。長い目でみると読者の親近感が上がりやすくなりますので。上の方にも書きましたが読者の信頼を勝ち取るためにメディアをやるわけですから、半端な距離感は意味が無いです

また、責任をとりたくないのか負担軽減したいのか複数人で~となりがちですがそれだとノウハウとスキルにバラつきがでるので専任を鍛え続けた方が早いと考えています。

補足をすると、わたしはスパロボでは単騎特攻で殲滅させたり、RPGも特定のキャラだけを特化させて攻略をすすめる派です。

5.予算感。足りなくなったら電子書籍を売って稼げばいいじゃない

ライブドアブログなら無料だし、はてブproなら年間8,434円。ドメイン代は.comで年間1,280円くらいですね。構築やデザインはクラウドソーシングで募集して10万円くらいでなんとか抑えれば……事業部の四半期の接待交際費くらいで初期費用は捻出できるんじゃないでしょうか

あとは、担当者のガッツと滅私、献身があれば3ヶ月くらいで出版社によりますが毎月5,00010,000部程度を安定して生み出せるメディアをつくれるんではと思うんですよ

1冊売れたら出版社が200円儲かるとして、3ヶ月目には200万円ですね。それくらいいけば、担当者を3人くらいに増やしてもいけるんじゃないでしょうか。

初年度の終わりには毎月23万冊売れるメディア。出版社の売上全体で見れば微々たるものかもしれませんが各電子書籍ストアランキングに確実に変動をもたらせる程度の力を持つと思います。

まとめ。担当者さんへ、これは将来への投資です

最終的にメディア運営を通して電子書籍販売のノウハウがたまっていけば、作家のメディア構築やネットプロモーションの支援サービスなど出版社が将来的に取り組むべき課題にも活用できまね

オウンドメディアってスゴイな。担当者が更新地獄の絶望に追い込まれることを除けば、とても効果的な取り組みです。電子書籍売るなんて簡単だよ!死ぬ気でやればいいのさアハハハ!

わたしはずっと2年半コレだけをやってるのでまだなんとかなっていますが、担当者さんは通常業務+更新8記事とかだとちょっと負担が大きすぎるかもしれませんね。でもまぁ、ゼロから立ち上げる短期間で成功させるなら根性!根性!根性!が大事ですから。

もし、これを読んで『わたし、やります!』という担当者さんがいらっしゃればご連絡ください。無料ではちょっとできませんが(わたしも生活があるので)、お代さえいただければ構築運用のサポートは24時間で可能です。わたしもずっと更新しかしていないのでその延長なんで余裕ッス。お仕事のご依頼お待ちしています。

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