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【政治】

首相、掃海の答弁修正 「特定国の機雷敷設を想定せず」

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 他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案は二十七日の参院本会議で、政府による趣旨説明と与野党の質疑が行われ、審議入りした。安倍晋三首相は、中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海について、イランによる海上封鎖を前提にしてきた答弁を修正し、こだわってきた集団的自衛権行使の事例の根拠が揺らいだ。「違憲立法」との批判を参院がどう受け止め、審議に反映させるかが焦点になる。 

 首相は本会議で、ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海について「特定の国が機雷を敷設することを想定していない」と説明。同時に「中東地域の安保環境が不透明さを増し、あらゆる事態に万全の備えをすることが重要だ」と集団的自衛権行使の必要性を訴えた。

 機雷掃海は機雷をまいた国への敵対行為となり、国際法上は武力行使と解釈される。首相は衆院の審議ではイランによる海上封鎖を前提に答弁していたが、イラン核協議の最終合意やイランの駐日大使が海上封鎖の可能性を否定したことに配慮し、軌道修正した。民主党の北沢俊美・元防衛相はホルムズ海峡での機雷掃海を視野に入れた立法には理由がないと追及した。

 首相は、憲法学者の大半が安保法案を「違憲」と批判していることに対し、集団的自衛権の行使容認は従来の憲法解釈と矛盾せず、「法的安定性は確保されている」と主張した。

 他国軍の戦闘に対する支援では、法案が成立しても、過激派組織「イスラム国」(IS)対策は非軍事分野に限り、米国主導の有志国連合には「政策判断として参加する考えはない」と強調。米軍主体でアフガニスタンに駐留し、多数の死者を出した国際治安支援部隊(ISAF)のような活動への派遣も「検討していない」と述べた。

 安保法案に関する参院特別委員会は二十八〜三十日の三日間、首相と関係閣僚が出席して質疑を行う。

 

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