「営業企画」という仕事は、個人、法人問わず皆さまにNHKの受信料制度を理解していただき、契約率を向上させる仕事です。業務の委託先である地域スタッフ、法人事業者を指導するのがメインですが、ホテルなど大口の場合、NHK職員が直接出向いて契約するケースもあります。相手の方に理解していただいて契約を結ぶという行為は、もともと得意でした。学生時代から、いい仲間や先輩に恵まれて、セレクトショップの店長を務めたり、起業や経営に携わった経験からも、自分の適性は営業織にあると考えていました。学生のときの飲み会(いまや業界の第一線で活躍される方々)で「真の営業マンとは何か」という話になって、何億円もする高級マンションを売るのがすごいのか、いろいろ議論になったんですが、価値が見えにくいものを自分の言葉できちんと伝え、その価値を理解していただけることが出来る人間、それが真の営業マンだという結論になったんです。就職活動のときにNHKの「営業企画」という仕事を初めて知って、これこそ真の営業マンたる仕事だと思いました。私自身恥ずかしい話ですが、受信料制度そのものを、それまで殆ど知らなかったんです。NHKの存在意義や価値をきちんとご理解いただいて契約していただく、これこそ私の目指す営業の仕事だと思いました。
NHKの営業の仕事は、NHKの存在意義を、観念や理念を正論で押しつけるのではなく、自分自身がふだんの生活のなかでどれだけ実感をともなって見つけ、お客様に応じた形容で、ご理解・ご納得していただけるかに尽きると思います。そのためには常にアンテナは公私問わず多方面へ張り続けなければなりません。
4年前の東北の津波を見て、数秒、数十秒の差が生死を分けることを実感しました。NHKの緊急災害報道は、どこよりも早い。アナウンサーが読むための原稿を緊急地震速報と共に瞬時にテロップ化するシステムもあります。公共放送が存在することによって、もし助かる命がひとつでもあるなら、公共放送はあった方がいいに決まっている。だからこそNHKは受信料制度で成り立っているし、成り立つしかない。私はこのことが、NHKの存在意義、受信料制度の価値をお伝えする最大のポイントだと考えています。
大学1・2年のときは、インポートの洋服を扱うセレクトショップでアルバイトをしていました。店員から始めたのですが、おもしろいように売れ、オーナーから信頼され店長に抜擢されて、買付にも同行するようになりました。基本的な接客、社会人としてのマナーをこの時に培ったのだと思います。
3・4年には、共同出資で会社を起こしてダイニングバーを経営。最初はお客さんの回転も良く多店舗化したのですが、慢心もあって、最終的には経営的に厳しいものがありました。この失敗から学ぶことは多かったですし、そのことを学生時代に経験できたことは貴重でした。
営業のコツは、「ここまでやったんだからいいや」と自分の可能性を決めつけないことだと思います。26年度の4~9月の半年で、2,000件を超える事業所契約を結ばせていただきましたが、それまでのNHKの歴代の記録は半年で約1,000件程。自分自身、何の根拠もないその数を大きなものだと思い込んでいました。ドイツの小説家ジャン・パウルの引用ですが「人生は1冊の本に似ている~」という言葉が有ります。1日1日が読み返せぬ本の1ページだと思い、記録を更新しても本当に自分の限界なんだろうかと常に自問自答しました。学生時代の慢心から学び、耳をかたむけていただける方には、自分の全てをぶつけ続けていたら、気付いた時には自分が限界だと思っていた数字の倍以上になりました。受信料の支払率は現在約76%ですが、現状の仕事に限界を自分で決めず、熱意とスピード感を持って組織的に取り組んでいけば、限りなく100%に近づけることができるはずです。皆さまに少しでも早く、そして一人でも多く受信料制度を理解していただくことが私の目標です。