韓国で初プロジェクト、建築家・伊東豊雄氏に聞く

インタビュー:伊東豊雄氏
光州デザインビエンナーレのパビリオン設計
「韓日の微妙な文化差を表現したい」 

-あなたが定義する社会的な建築とは。

 「住民と同じ方向を向いている建築だ。建築家たちは、口では『社会のために』と言うが、実際には自己満足のための(建築物を建てる)ことが多い。私が常に抱いている自問でもある」

-モダニズム建築を批判してきた。

 「モダニズム建築は規律で自然を征服することができるという思想から出発した。自然との関係を絶ち、世界のどこであっても同じような建物を建てた。今こそ西洋から持ち込まれた建築思想を脱却するときだ。アジアならではの固有の建築モデルが重要になっている」

―「アジアならではの建築」とは、具体的にどんなものか。

 「自然に対するアジア共通の情緒に基盤を置いた建築だ。韓屋(韓国の伝統家屋)がそうであるように、建物の中と外の境があいまいなのが代表的だ」

-そういう価値観を建築物でどう具現するのか。

 「先ごろ岐阜市の公共文化施設『みんなの森 ぎふメディアコスモス』という建物を設計した。建物の下を地下水が流れるようにし、地元のヒノキを組み合わせて屋根を作り、自然の冷暖房とした。壁もなくして空間を区切らないようにした」

-アジア的な価値を強調しているが、今の日本とアジア諸国の関係は円滑ではない。建築、そして文化がどんな役割を果たせるか。

 「アジアの未来のためには、近代以前にアジアが持っていた共通の文化を土台に、政治・歴史的な和合を模索すべきだ。かつての韓国、中国、日本の住居や生活方式などには共通点がある。文化交流によってこういう似た点を思い出させれば、関係回復に役立つだろう。近ごろ日本では海外の建築家を招いてプロジェクトを任せるケースがほとんどなくて残念だ。日本の建築家として恥ずかしい」

金美理(キム・ミリ)記者
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