冥王星:米探査機が到達…48億キロ、9年半かけ

毎日新聞 2015年07月14日 21時22分(最終更新 07月14日 23時49分)

接近中のニューホライズンズが約76万6000キロ上空から13日に撮影した冥王星。白っぽいハート形の模様が正面に見える=NASA提供
接近中のニューホライズンズが約76万6000キロ上空から13日に撮影した冥王星。白っぽいハート形の模様が正面に見える=NASA提供
冥王星に接近するニューホライズンズの想像図=NASA提供
冥王星に接近するニューホライズンズの想像図=NASA提供

 米航空宇宙局(NASA)は14日、無人探査機「ニューホライズンズ」が打ち上げから9年半の旅を経て、日本時間の同日午後8時49分ごろ、冥王星上空に到達したと発表した。探査機が冥王星へ接近するのは史上初。接近観測にも挑み、冥王星を通過後はさらに遠くにある太陽系の小天体観測へ向かう。

 探査機は現在、地球から約48億キロ離れており、探査機の現状を確認する通信には片道約4時間半かかるが、探査機は秒速約14キロのスピードで冥王星から約1万3000キロに近づいたとみられる。NASAのアラン・スターン主任研究員は「私たちは太陽系(の主な天体)の初探査を達成した。米国が偉業を成し遂げたことを誇りに思う」と喜びを語った。

 探査機は、2006年1月に打ち上げられた。冥王星上空から地表や大気の組成などを観測する計画で、最接近時の観測が成功したかどうかや詳しいデータは、15日に公表される見通し。観測データ全てが地球に届くまで16カ月かかるという。

 探査機が撮影した画像などから、冥王星のクレーターと見られる地形や表面の模様が確認された。NASAは14日、冥王星から76万6000キロの場所から13日に撮影したハート形の明るい模様が確認できる画像を公開。同じ模様は7日も撮影されたが、輪郭や地形がくっきりしてきた。

 国立天文台の渡部潤一副台長は「惑星は小さな天体が合体してできたと考えられており、惑星を鶏に例えるならば、小惑星が卵で、冥王星などの準惑星はヒヨコ。鶏と卵は調べられてきたが、ヒヨコ段階は分かっていなかった。冥王星を調べれば惑星の成長途中を知ることができる。我々の予想がつかない結果が出てくるのではないか」と話す。【伊藤奈々恵】

 【ことば】冥王星

 1930年に米国の天文学者トンボーが発見した。太陽系最遠の惑星である海王星のさらに外側に張り出した楕円(だえん)軌道を約248年かけて1周する。直径は2370キロ。発見以来、太陽系9番目の惑星とされてきたが、太陽系の外縁部に同じくらいの大きさの天体が複数見つかり、2006年の国際天文学連合総会で「準惑星」に位置付けられた。冥王星の半分ほどの直径を持つ「カロン」など5個の衛星が見つかっている。

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