東九州道:福岡県がミカン園強制収用の行政代執行
毎日新聞 2015年07月14日 11時21分(最終更新 07月14日 12時44分)
福岡県は14日朝、東九州道椎田南インターチェンジ(IC)−豊前IC間の予定地にあるミカン園(同県豊前市)を強制収用する行政代執行に着手した。県職員ら約200人態勢で、園主の岡本栄一さん(69)が築いたバリケードを撤去し、土地境界へのくい打ち作業などを実施した。東九州道の北九州市と宮崎市を結ぶ区間で両IC間のみが未開通区間。西日本高速道路は行政代執行を経て来春の全線開通を目指している。
14日午前7時前、県土整備部の大崎準之次長の代執行開始宣言があり、園内の雑草を草刈り機ではらい、バリケードをのこぎりで切り倒した。岡本さんと支援者は「土地は私たちのものだ」と抗議の声を上げた。一方で「暴力を振るうわけにいかない」と語った。
西日本高速道路の建設計画では、岡本さんのミカン園の中央部を東九州道が縦断し、代執行の対象は1.45ヘクタール。同社は2006年6月から岡本さんに説明を続けたが、岡本さんは「動き出したら止まらない公共事業のあり方を変えたい」と土地売却を拒否。同社は11年に土地収用手続きに入り、今年1月、県収用委が岡本さんに5月23日までに畑地を明け渡すよう求めた。期日が過ぎても岡本さんは立ち退かず、西日本高速道路が県に行政代執行を申請していた。
岡本さんは現行の計画より約2キロ南西を通って、ミカン園を迂回する代替案で計画変更を求めていた。岡本さんは「ミカン作りは私の命。ここで生涯ミカンを作り続けたいだけ」と語っている。【降旗英峰】