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2015.7.25 SAT
TEXT BY JOAO MEDEIROS
TRANSLATION BY SANAE AKIYAMA
WIRED NEWS(US)
“Az univerzum, ahogy Stephen Hawking látja” BY Lwp Kommunikáció (CC:BY2.0)
2014年9月23日の午後、テネリフェ島のロス・プエブロにあるマグマ・オーディトリウムで、スティーヴン・ウィリアム・ホーキング博士は講演の数分前に、スピーチの一部を書き直していた。
科学界では珍しいことに、宇宙論の最も基礎的な問題に取り組んでいる理論物理学者であり、同時に非常に有名でもあるその人は、書くのが遅い、のだ(2014年1月に発表されたホーキングのごく最近の論文は、『ブラックホールのための情報保存と天気予報/原題:Information preservation and weather forecasting for black holes』というタイトルのものだった)。
ホーキングは右頬の筋肉を動かすことでコンピューターを操作する。眼鏡に取り付けられた赤外線センサーがその動きを感知し、車椅子に設置されたモニター上のカーソルを動かすことができるのだ。
21歳の時から患っている病気、筋萎縮性側索硬化症(ALS:別名運動ニューロン疾患)のため、彼はこうして苦心しながら、1分間に数単語という速度で文章を紡ぎだす。筋肉コントロールの悪化により、そのスピードすら少しずつ落ちているかもしれない。『宇宙の量子論的天地創造/原題:The Quantum Creation of the Universe』と題目されたホーキングのテネリフェ講演は、1,500席収容のオーディトリアムが満席だったという(博士は14年8月に「昨年肺炎を患って、冷水をかぶるのはあまり賢明ではないと思ったので」、自分の代わりとして子どもたちにALSアイスバケツチャレンジに参加してもらった)。
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「博士が講演直前に内容を変えていたものだから、ぼくらは軽くパニックになりましたよ」と、ホーキングの大学院生アシスタントであるジョナサン・ウッドは言う。アシスタントとしての彼の責任は、技術面からソーシャルメディアを管理することまで多岐に渡る。
「いつものことなんですけどね。ぼくが博士の代わりにパワーポイントのスライドをつくっているんですが、ぼくは物理学者じゃないので理解できない内容が多いんです。それに、博士はどのスライドを変えたいのかをぼくに説明しなきゃなりませんから」
この日行われた講演は、ノーベル物理学賞受賞者のジョン・マザーをはじめ、生物学者のリチャード・ドーキンスやクイーンのギタリストで三次元宇宙の専門家ブライアン・メイを含む、著名な科学者らを集めた6日間のサイエンス・フェスティバル「Starmus」の一部として行われた。しかし、やはりいちばんの見せ場はホーキングだった。
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