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 クロマグロを卵から育てる「完全養殖」の新たなプロジェクトが長崎で始まった。トヨタ自動車グループの商社、豊田通商が「近大マグロ」の近畿大学と協力する。高級魚のクロマグロは、天然の稚魚からの養殖や成魚の漁獲がほとんど。資源保護のため規制が強化されており、完全養殖への期待は高い。

 豊田通商が、長崎県五島市の福江島にマグロの養殖施設「ツナドリーム五島種苗センター」を設立し、23日に開所式を実施した。飼育棟には六つの大きな水槽がある。卵からの完全養殖で育てたクロマグロの親魚から受精卵を採取し、5センチほどの稚魚に育てる。さらに海上のいけすに移し、30センチほどの幼魚(ヨコワ)にする。多くは養殖業者に売り、一部は成魚まで育て「近大マグロ」として売る。

 2002年に世界初の完全養殖に成功した近大が協力する。今年度中に稚魚を4万匹生産する。19年度までに水槽を16基、稚魚は30万匹まで増やす計画。

 豊田通商は10年から五島市でクロマグロを養殖しているが、近大が和歌山や鹿児島・奄美で卵から育てた稚魚を移送している。今後は福江島産の卵を利用した「循環型」の完全養殖を進めていく。加留部淳社長は「日本の食文化を支えることに貢献できる。5年、10年かけても必ず事業として成功させる」と話す。近大の担当者も「完全養殖の産業化には、民間企業のパートナーが不可欠だった」と協業に期待する。