2015-07-26

ふわふわとした時間

告白をしてフラれた。私が新卒として入社した同じ年の中途入社、少し年上の人で、彼女持ちの相手。1年かけた片思いだった。

知り合ってしばらくして二人で飲んだ日に終電をなくし、彼の家に泊めてもらったのがきっかけだった。素敵な人だと思っていたし、一緒に夜を過ごすことに私は少し浮かれていて、同じベッドでひっついて寝て、セックスをした。キスセックスもこちらからしかけたような感じだった。

それからすぐのめり込んでしまった。同じフロア仕事をしている姿を見て、また飲み会の席で仕事について話をするのを聞いて、私はこの人のことが好きだと確信するようになった。付き合ってもいないのに仕事プライベートも頭の中は彼のことで一杯になってしまった。この連休は何をしているんだろう、会議であんなことを言っていたけど本心ではどう考えているんだろう、今日は珍しく早く帰っていったけどデートなんだろうか、などなど。

彼女がいることは知っていたし辛い事実だった。けれどそれよりも一緒に過ごして、話して笑い合って、ふわふわとした時間を持ちたい気持ちが強かった。彼がいるから朝7時過ぎから出社して仕事をしたし、彼が髪を切ってきていたりしたものならそれをつつきに行ってみて、照れる彼を見て楽しんだりした。

また飲み会なんかがある度に、終わった後にLINEで家に行きたいとねだった。彼女がいる手前だろうけれど何回かは断られたし、そのときは駅のホームで寂しい思いをしたりもしたけれど、許してもらえたときは本当に嬉しかった。シャワーを借りて、首周りがよれよれになった彼の古いライブTシャツスウェットを着て彼に抱きついて寝て、頬や首にキスをしていると彼もしてくれて、セックスをして寝た。翌朝彼が洗濯機を回したりすれば干すのを手伝ったり、近所のカフェ蕎麦屋に遅い朝食を食べに行ったり、そんな時間が心地良すぎてやめることができなかった。

そんな、彼の浮気相手のような立ち位置として1年ほどを過ごしたのだけど、やっぱり私の中では他の色々な思いもうっすらと積もっていった。自分が本気で好きな相手の浮気相手をしているのだから当たり前だ。彼とカウンター席で飲んでいると彼のiPhoneの通知が光れば気になってしまうし、何より一緒にいないときは相手がどんな幸せ時間を過ごしているのかと気が気でなかった。

そんな関係の末に思い切って告白に踏み切ったのは、そんな風に自分の中につらい思いが鬱積していった上に、一緒に飲んでいたとき結婚の話になったのがきっかけだった。

直接そういう思いを伝えたことはなかった。伝えたところで彼にはステディな相手がいて私と彼の関係が進展することは望めなさそうだけど、もう色々叶わないことを我慢するのもつらい。ヤケ気味だった。

ずっと好きだったし今でもすごく好きですと、そう伝えた。彼はすごく驚いていた。都合の良い相手だって考えてると思っていた、と彼は言っていた。

言い出しから私はもう泣いてしまっていたのだけど、彼はそう言うと抱きしめてくれて、ありがとうと言ってくれた。そうしてその夜は終わった。

それから2ヶ月ほど、前のようなふわふわとした関係はなくなってしまった。もう本当に寂しかったのだけど、告白をして撃沈した手前、前と同じようにお泊りしたいだなんて可愛くおねだりなんてできないし、あの告白区切りになってしまったような気がして職場でも上手く声をかけられなくなってしまった。

このまま関係は終わってしまうのかな。そう思い始めてしまった今年の初夏、今度は初めて彼から飲みに誘われた。

仕事を終えてから午後は社外だった彼と渋谷で待ち合わせて、ワインを飲みに行った。初めは新年度職場の話なんかをしていたのだけど、唐突に、最近そっけないじゃん、と言われた。

そりゃああんな後じゃこれまで通り話せないじゃないですか、なんて言い合って、それでも彼は、前みたいに浮気相手やれとは言わないけどさ、これからもこうやって一緒に飲みにいったりしようよ、と言ってくれた。俺は君とのそういう関係がなくなってしまうのは嫌だ、と。

すごく嬉しかった。私の好きという気持ちを伝えられて、それをわかってくれた上で男女として一緒に食事をして並んで駅まで歩く、そういうことができるだけで、告白してよかったとそう思えた。

嬉しすぎて帰り道で「私2号ちゃんでもいいです」なんて言ってしまったりもしたのだけど、本気で好きな人浮気相手なんてやらないほうがいいよ、と彼は言っていた。経験があるらしい。

そんな事があったから、先週は私から誘ってみた。高層ビルの上階のダイニングバーでお酒を飲んで、とりとめのない話をした。私の複雑な思いもわかってくれていて、自然に振る舞って心地よい時間を作ってくれる彼の器量を感じてああ本当に好きだななんて感じて。

お店を出た後に、同じフロアにある展望スペースへ行った。天気が悪くて人が全然いなくて、ぼんやりとした東京夜景を二人で見下ろした。我慢できなくなって彼の方に頭を預けてみると、彼の家で寝ていた頃みたいな懐かしい気持ちが沸き起こってきた。

ねぇキスして、というと、軽く唇を重ねてくれた。彼の左腕に抱きついて帰りたくないなぁ、と言ってみると、お前それ平日に言うなよ、と小さな声で笑いながら言うもんだから、週末ならいいんですか?と聞いてやった。彼は失言を照れて隠すように、困ったように、また笑っていた。

彼とのふわふわとした時間は本当に麻薬みたいだ。来週は職場の同世代飲み会があって、彼ともまた話ができる。

いけないかもしれないけど。

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