クローズアップ現代「検証“安保法案” いま何を問うべきか」 2015.07.23


その上で揺れているのは、イカです。
日本の安全保障政策はどう変わるのでしょうか。
先週、衆議院を通過した安全保障関連法案。
NHKの世論調査では国会での議論が尽くされていないと感じる人が半数以上に上っています。
憲法や安全保障の専門家たちは国会の議論をどう見ているのか。
そして今後深めるべき論点は何か。
来週始まる見通しの参議院での審議を前に考えます。
こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
戦後日本の安全保障政策を大きく変える安全保障関連法案。
来週、参議院での審議が始まる見通しです。
安全保障に関わる法案はできるだけ幅広い合意を形成して成立させることが望ましいわけですけれどもNHKの世論調査では安全保障法制の整備について大いに評価するが8%ある程度評価するが24%あまり評価しないが31%全く評価しないが30%でした。
また安保法案は憲法違反ではないという政府の説明に大いに納得できるが4%ある程度納得できるが20%あまり納得できないが37%全く納得できないが29%でした。
こうした中、与党が衆議院で採決を行った余波は大きく国会周辺では連日多くの人たちが法案への反対の声を上げています。
国会では自衛隊法など10本の法律の改正を1本にまとめた平和安全法制整備法案と新法の国際平和支援法案が一括して審議されました。
その中で憲法との整合性が問われたのが集団的自衛権の行使容認です。
法案では日本と密接な関係にある他国への武力攻撃で日本の存立が脅かされることなどを要件に武力行使が可能だとされています。
これに対して衆議院の憲法審査会で憲法学者が法案は憲法違反であると指摘したことをきっかけに野党などから違憲だという批判が強まりました。
政府は日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを理由に憲法解釈を変更するのは妥当だと主張し議論は平行線をたどりました。
また、どういう場合に集団的自衛権を行使するのかなぜ法整備を急ぐかについても審議の中で必ずしも明確になっていません。
参議院ではどのような議論が求められるのでしょうか。
衆議院の審議で焦点となった安全保障関連法案と憲法との関係。
合憲か違憲かの議論は採決当日まで続きました。
今から69年前に公布された日本国憲法。
第9条で、戦争の放棄戦力の不保持をうたっています。
憲法上の制約を理由に歴代の内閣は、集団的自衛権は行使できないとしてきました。
その考え方がまとめられたのは1972年、田中内閣のときです。
憲法は、自衛の措置を禁じているわけではない。
その上で、自衛の措置は必要最小限度の範囲にとどまるべきとしています。
そして、自衛の措置が認められるのは、自国が攻撃されたときのみだとして集団的自衛権の行使は憲法上許されないとしたのです。
一方、安倍内閣は安全保障環境が根本的に変容していることを理由に他国への武力攻撃であっても日本の存立を脅かすことも起こりうるとして集団的自衛権の限定的な行使は合憲だとしたのです。
法律の専門家は国会の議論をどう見ていたのか。
NHKは、日本で最も多くの憲法学者が参加する日本公法学会の会員や元会員で大学などに所属する憲法や行政法などの研究者1146人に独自にアンケートを送付。
422人から回答を得ました。
回答した研究者の中では377人が、法案は違憲もしくは違憲の疑いがあると答えました。
また、国会での政府の説明についての意見もありました。
一方、回答した研究者の中では28人が法案は合憲だと答えました。
その多くが安全保障環境の変化を理由に挙げました。
法案が憲法上認められるかどうかを審査する内閣法制局です。
横畠裕介長官は集団的自衛権の限定的な行使は自国防衛のためであり合憲であると繰り返し答弁しています。
一方、歴代長官の多くからは批判も出ています。
大森政輔さんはこれまで積み重ねられてきた集団的自衛権は行使できないという解釈を尊重すべきだと考えています。
大森さんの長官在任中も安全保障環境に大きな変化がありました。
中国が台湾近海でミサイルを発射。
また、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過する事態が起きたのです。
大森さんは日本周辺の有事の際の自衛隊によるアメリカ軍への後方支援を定めた周辺事態法の制定に携わりました。
しかし、安全保障環境の変化があったとしても集団的自衛権の行使が可能だという解釈に踏み出せるとは考えていません。
一方安全保障環境の変化に応じて憲法を柔軟に解釈すべきだと主張する人もいます。
日本外交史が専門の北岡伸一さん。
安倍総理大臣が設置した有識者懇談会の座長代理として去年、集団的自衛権の行使を可能とするよう提言しました。
北岡さんが指摘するのは憲法の解釈を事実上変えてきた歴史です。
憲法が公布された直後、政府は自衛のための戦争も放棄したとしていました。
しかし、東西冷戦が深まる中1954年に自衛隊を創設。
自衛のために戦うことは合憲という解釈を打ち出しました。
北岡さんは、国民の安全をどう確保すべきかという視点から憲法を捉え直すべきだと考えています。
今夜は、安全保障関連法案の国会での審議の取材を続けてきました、政治部防衛省クラブの田中記者と共にお伝えしてまいります。
NHKが行ったこの世論調査では、国会審議で議論が尽くされていないと答えた人が56%、そして冒頭でご紹介しましたように、憲法に違反していないという政府の説明に納得できないという声が大きい中で採決が行われました。
政府はこうした厳しい声を、どのように受け止めているんでしょうか?
そうですね、危機感を持っていると感じます。
安倍総理大臣は、各種の世論調査で、内閣支持率が低下した原因として、え法案への支持が低く、理解が進んでいないことを挙げているんです。
このため、安倍総理大臣は、みずから連日、テレビ番組などに出演して、国民に直接、法案の内容や必要性について説明し、理解を得ようと努力しています。
まさに異例の対応を取っていると思います。
安倍総理大臣は、法案に対する理解が進んでいないと言っています。
一方で、民主党は、理解が進んだ分だけ、反対が増えているとしています。
5月から国会での審議をずっと取材してきて、田中さんの目には、どのように映っていますか?
5月下旬から始まった審議を一貫して見てきました。
当初は他国の領域で、集団的自衛権の行使がどこまで認められるか、また自衛隊員のリスクについての論戦が中心だったんです。
その後、法案と憲法の整合性を巡る議論が中心になり、民主党などは憲法違反とか、憲法違反の疑いが強いと指摘しました。
これに対してですね、政府・与党は、日本を取り巻く安全保障環境が変化したことを理由に、限定的であれば、集団的自衛権の行使は憲法上、認められるなどと反論しました。
法案を巡る多様な論点について議論を深める前に、そもそもこの法案は憲法上、認められるのかという、いわば入り口の議論で、与野党の主張が平行線をたどったまま、特別委員会の採決を迎えた印象を受けました。
今言われたように、与党は入り口で審議が終わったとしてしまったと見ているわけですけれども、法案がしかし、合憲か違憲かというのは、非常に根本的で、本質的な問題だけに、参議院でも、この点が、議論の焦点にならざるをえないんじゃないですか?
そうですね、政府としても、憲法との整合性をなおざりにするわけではなく、法案で可能にする集団的自衛権の行使であれば、ぎりぎり憲法の範囲内だとして、理解を得る努力を続ける考えで、参議院でも引き続き、焦点となりそうです。
ただ一方で政府は、国民の理解を得るためにも、憲法論だけでなく、安全保障政策の観点からの議論も深めたいという考えも持っているんです。
政府は、日本の平和と安全のために、この法案は不可欠だとしています。
この主張に対しても、専門家の見解は分かれています。
法案に対する国民の理解が進んでいないことを認めた安倍総理大臣。
今、みずから法案の必要性を訴えています。
戦後、日本が安全保障の柱としてきた日米同盟。
アメリカは安倍政権の姿勢を歓迎しています。
対日政策に深く関わってきた元国務副長官アーミテージ氏です。
集団的自衛権の行使容認は日本の平和と安全につながるのか。
防衛省や自衛隊の元幹部の間でも見解は分かれています。
2006年から3年間統合幕僚長を務めた齋藤隆さんです。
自衛隊のトップとしてインド洋でのアメリカ軍などへの給油活動の指揮に当たるなどしました。
齋藤さんは、日本がより積極的にアメリカなどとの連携を強め抑止力を高めるべきだと指摘します。
さらに齋藤さんは法案が成立すれば自衛隊がアメリカ軍などとより実践的な訓練ができるようになると言います。
アメリカ軍が主催する世界最大級の多国間軍事演習・リムパック。
2年に1度開かれ去年は22か国が参加しました。
しかし日本は集団的自衛権の行使を前提とした一部の訓練には参加してきませんでした。
一方集団的自衛権の行使容認は日本の安全につながらないと指摘する人もいます。
元防衛官僚の柳澤協二さんです。
自衛隊のイラク派遣で中心的な役割を担った柳澤さん。
集団的自衛権の行使を容認すればアメリカからこれまで以上の貢献を求められ断れなくなるのではないかと危惧しています。
さらに、今回の法案ではどのような場合に集団的自衛権を行使するのか政府に委ねられる裁量が大きすぎると指摘します。
集団的自衛権の行使にあたって、政府に委ねられる裁量が大きすぎるという声が、今、ありましたけれども、こちらがこの集団的自衛権を行使するにあたっての3要件。
政府は厳しい歯止めをかけたとしているんですけれども、一方で、具体的にどういう場合に行使するのかについて、審議の中では、総合的に判断するという抽象的な答弁が多く、あいまいな説明になっていませんでしたか?
そうですね、政府はこの要件に当てはまる事例として、中東のホルムズ海峡での機雷の掃海活動などを挙げて、説明はしているんです。
ただ、安倍総理大臣は、安全保障上の対応は、事細かに事前に設定するのは、避けたほうがよいとも述べているんです。
これは、安全保障に関わる問題では、具体的な想定など、みずからの手の内をさらすべきではないという考えなんです。
これに対して、民主党などは、結局基準があいまいになり、政府の裁量に委ねる幅が大きくなるなどと、批判しているんです。
そして今回の法案には、集団的自衛権のほかにも、大きな政策の見直しが含まれています。
中でも、自衛隊による外国軍隊への後方支援では、地理的な制約がないことが明確になり、また、弾薬の提供や、発進準備中の航空機への給油など、活動内容も拡大します。
野党からは、武力行使と一体化するのではないかとの指摘も出ています。
参議院では、自衛隊の活動拡大についての議論を、それを深めることも、非常に大事ではありませんか?
そのとおりだと思います。
今回の法案は、非常に多岐にわたるものなんですが、憲法解釈を変更して、実施できるようにするのは、集団的自衛権の行使だけなんです。
このため、どうしてもこのテーマに論戦が偏りがちになっているんです。
ただ、法案には、国際貢献のための後方支援を恒久法として整備するものや、PKO活動の際に、自衛隊が武器を使って、他国の部隊などを救援する、いわゆる駆けつけ警護を可能にするものなども含まれているんです。
その一つ一つが大きな法改正なんですが、それらについては、議論が尽くされていないと感じます。
参議院での審議は、憲法論議と並んで、こうした分野の議論を深めることも重要だと感じます。
NHKの世論調査では、今国会での成立に賛成が18%、反対が44%と反対がかなり多くなっています。
こうした中で、安倍総理大臣は、今国会での成立を確実に行いたいとしているんですけれども、なぜ成立を急ぐんでしょうか?
第1次安倍内閣のときから、長年、取り組んできた課題であり、今、政権基盤が比較的安定しているうちに、みずからの手で成し遂げたいという思いもあるものと見られます。
また、国民の間で議論が分かれる問題なだけに来年夏に控える、参議院選挙から、なるべく離れた時期に決着させたいというねらいもあるのではないでしょうか。
8月には戦後70年談話、そして9月には自民党総裁選挙、重要課題がめじろ押しな中で、十分な議論が果たして行われるのか。
与党は60日ルールを念頭にあって、多数決で法案を成立させることもできるわけですけども、この審議に注がれる国民の目は、より厳しくなっているといわざるをえないと思うんですけれども、そうした中で与野党はどのように論議、また議論、審議に臨むんでしょうか。
そうですね、与党内でも、国民の理解が進んでいないという危機感は強く、参議院では、与党の質問時間をより多く確保して、政府側に法案の必要性などを分かりやすく説明してもらう方針なんです。
一方、民主党などは法案の問題点を指摘し、それを国民に伝えて、国民世論対安倍総理大臣という構図を作りたいとしています。
安全保障の問題は、実感は湧きにくいと思うんですが、国の根幹に関わり、国民の命や暮らしに直結するテーマだと思います。
日本の安全保障にとって必要なのかどうか、憲法上、認められるのかどうか、そして審議が尽くされているのかどうか、しっかり私たちは見ていく必要があると思います。
2015/07/23(木) 19:30〜19:56
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「検証“安保法案” いま何を問うべきか」[字]

集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案が衆議院で可決。NHKの世論調査では、半数以上が「議論が尽くされていない」と回答。今後どのような議論が必要か考える

詳細情報
番組内容
【ゲスト】NHK政治部記者…田中泰臣,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】NHK政治部記者…田中泰臣,【キャスター】国谷裕子

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ニュース/報道 – 政治・国会

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