(拍手)
(黒部治子)フィフティーンラブ。
(矢部)たまにはエキシビジョンゲームもいいね。
いつもインドアコートのレッスンじゃな。
おっさすが元日本代表。
(西木岳夫)それも16年も前の話ですからね。
光陰矢のごとしか。
歳は隠せないか。
この頃視聴率も頭打ちでさ。
局としても番組継続の見直し検討してんのよ。
いや〜そんな…お願いしますよ矢部さん。
その件でねいいアイデアがあります。
あっ?
(治子)ゲーム!
(柚原千晶)お疲れさまでした。
・
(AD)はーいお疲れさまです!・30分休憩入れまーす!お疲れさま。
お疲れさまです。
(花岡愛)お疲れ。
ありがとう。
お疲れさま。
お疲れ。
さすがお見事。
女王様健在って感じですね。
ふふっ相変わらずお上手ね。
相変わらずは花岡愛の美しさでしょ。
ええ〜?ふふっ。
こっちが先ほどお話しした柚原千晶です。
愛先生の秘書をしております柚原千晶と申します。
選手としての実績はありませんがテニスの腕前もなかなかで大学では運動生理学を修めました。
ああいいね。
やってみよう。
わかりました。
すぐにテニスウエアに着替えて。
えっ?ちょっとそれどういう事?練習生の中に柚原千晶を入れるんだよ。
えっ?練習生よりも当然動きもいいし絵にもなるじゃないか。
要するに一種のサクラだよ。
いずれにしたって君の引き立て役さ。
ふ〜ん。
そういう事なら千晶急いで着替えてらっしゃい。
はい。
「まずグリップを正しく握ってフォアハンドの素振りをしてみましょう」「はい!」123!簡単そうに見えて意外と奥が深いのがこのフォアハンドストロークなんです。
まずはこの基本を身につけましょう。
なかなかいいわよ。
(矢部)いいねぇ。
どんどん彼女のクローズアップでいこう。
へへっやっぱり若返りが必要って事かなぁ。
愛テニススクールも。
どうかしてるわよ。
千晶を推薦するなんて。
それも千晶のクローズアップばっかり。
あなた私のマネージャーでしょ?違うの?だから君のためだって言ってるじゃないか。
君と僕とで組んで始めたテニススクールも今や横浜成城多摩と3か所だ。
次の目標は総合スポーツセンターの建設。
そうよ。
テニスを中心にプールマシン・トレーニングあらゆる施設を整えた最高の総合スポーツセンター。
でしょ?その実現のためには多額の資金がいる。
資金集めのためにテレビ番組で愛テニススクールの名前を売り続ける必要があるんだよ。
なあ僕が君を裏切った事があるか?君が学生時代から海外遠征をサポートしてきた戦友だぜ。
何言ってんの?ここまできたのは私の実力じゃない。
でもまぁマネージャーとしてのあなたの力は認めるけれど。
今夜はもういいわ。
ちょっと千晶に話があるから。
話ね…。
男には関係のない女同士の話よ。
じゃあ僕は…。
お疲れさまでした。
お疲れ。
お疲れさま。
かけて。
はい。
いい気にならないでね。
ちょっとぐらいテレビに出たからって。
わかってるのよ。
あなたが何を狙っているのか。
他の人にはわからなくても私にはわかる。
あなたの野望が何なのか。
あなたこの私を花岡愛を踏み越えスクールを乗っ取ろうと考えてる。
ふふっそうなんでしょ?もう5年前かしらねぇ?新しいレッスンプログラムを考えたってあなたがスクールに売り込んできたのは。
ドラマ仕立ての中でレッスンを修得するプログラムです。
この方式なら単調なレッスンも魅力的になります。
あなたが考案したプログラムを採用してあなたが大学卒業と同時に私の秘書に大抜擢した。
どうしてだかわかる?私と同じにおいを感じたから。
同じ種類の人間だけが感じ取れるにおい。
野心に満ちた同じ人間としてのね。
あなたの考案したプログラムはアイ・メソッドと名付けられ今やうちの人気のプログラムだわ。
だけど勘違いしないでね。
アイ・メソッドは私の名前で私が紹介するから人気があるの。
スクールを乗っ取る?ふふっ無駄よ。
つまんない野望を頭の中でこねくり回しても。
愛?愛!西木さん!7時にスタジオ入りなのに社長室にもいないんだよ。
えっ…?ああ〜どうしちゃったって言うんだ?テレビの収録のほうはとりあえずヘッドコーチの治子さんに行ってもらってるからいいものの…。
(相沢和美)西木さん!多摩にも成城にも先生いらしてないようです。
先生!先生!ああっ…!先生!先生…!
(パトカーのサイレン)
(石塚刑事)リボンにこのテープずいぶん念が入ってますね。
(富永警部補)う〜ん…よっぽど仏さんに恨みでもあったのか…。
あなたが第一発見者ですか?ご足労ですが署でお話伺えますか?はい…。
実は私悪い事が起こるんじゃないかって心配していたんです。
どういう事です?この2週間いろんな事があって…。
(富永)いろんな事?はい。
まず最初はテレビの収録があったその日の事です。
今さらリボンって歳でもないか。
いえお似合いです。
生徒さんもみんな憧れなんです。
先生のそのトレードマーク。
花絵さんちょっとそのラケット見せて。
見せなさいったら。
やっぱり…。
このグリップテープうちで指定してるブランドと違うじゃないの!何でこういう自分勝手な事するの?生徒さんへの示しもつかないでしょ!
(北川花絵)でも私このほうが手に合うんです。
グリップテープぐらい好きなもの選ばせてください。
何ですって…?花絵さん!治子さん…。
あなたもあなたよ。
ヘッドコーチでしょ!ちゃんと目配ってくれないと困るじゃないの。
申し訳ありません…。
とにかく勝手な真似は許さないわ。
私からも後で取り成しとくけどきちんと謝っといたほうがいいわ。
吠えていられるのも今のうちかも…。
そしてその北川花絵さんから突然多摩のテニススクールのチーフコーチを辞めるという電話があったんです。
先生!今花絵さんから連絡があってスクールを辞めますって。
北川花絵が?退職届は郵送すると一方的に電話を切ってしまって。
去る者は追わず。
こっちからクビにしてやるわ。
それが花絵さんだけじゃないんです。
多摩のコーチ全員が花絵さんと行動を共にすると…。
何ですって…?どうしましょう?千晶多摩の様子見て来てちょうだい。
はい。
おはようございます。
ああよかった。
皆さんいてくださって。
とりあえず午前のレッスンは対応していただけますね。
(節子)あの私達…。
チーフコーチと一緒にまさか心中なさるおつもりじゃないですよね?心中…?先生に反旗を翻したらこの世界ではやっていけない。
死んだも同然ですもの。
でも…。
私達花絵さんが始められる八王子のスクールに…。
八王子?北川花絵さん一人で先生のグループ相手にケンカできるかしら?今ならあなた方には傷はつきません。
とりあえず今日一日だけ私にください。
お願いします。
お願いします!お願いします!とりあえず1セットまあ勝負ありだな。
はい。
とにかく北川花絵に会いに行こう。
まるで張り込みの刑事さんみたいね。
君が電話にも出ないからさ。
私はすでに退職を申し出たのよ。
今朝ね。
時期はどうであれ私が退職したいと言っている以上止める権利はないわ。
そうでしょ?花絵さん!ご存じでしょうか?実はうちのスクールも八王子に愛先生直営の教室を開く事になってるんです。
何ですって…!?そんな話聞いてないわ。
君が知らないだけだ。
独立するのは勝手だがうちに勝てるかなぁ。
もちろん花岡愛のレッスン・メソッドは使わせないよ。
花絵さん今ならまだ間に合います。
戻ってください。
先生もきっと許してくださいますよ。
許すもんですかあの人が!ふ〜ん。
するとその北川花絵ってコーチと被害者の花岡愛さんとの間には大変な確執があった。
で北川花絵の造反劇は失敗に終わったという訳ですな。
はい…。
スポンサーの方も勝ち目はないと手を引かれて…。
乾杯!私を裏切ったらどうなるかみんなにもいい見せしめだわ。
他のコーチ陣も戻って来たし花絵一人じゃ何もできやしないよ。
それにしてもハッタリもいいとこね。
八王子に私の新しい教室?ははっ。
さすが歴戦のつわものだわ。
見直した。
この人とはねニューヨークで知り合ったのよ。
プロに転向したものの初の海外遠征で行き詰まってた私に声をかけてきたの。
君をテニス界のスターにしてみせるって。
ふふっ。
実を言うとね当時の僕はギリギリまで追いつめられてた。
絵の勉強も思うにまかせずその日のパンにも困る有り様さ。
何とかはい上がろうと必死だった。
私も同じよ。
元全日本代表と言っても世界に通用する訳でもなし…。
みじめで必死だったわ…。
それが僕達を結びつけた訳だ。
似た者同士って訳。
ふふっ。
現役に見切りをつけてテニススクールを開いて大成功。
今やテニス界のスターだ。
ともかくまあよかったじゃない。
無事収まって。
これで計画中のスポーツセンターにも専念できるわね。
君のお陰で点数を稼いだようなもんだな。
八王子に新しい教室を開くか。
あのハッタリは君のアイデアだもの。
いえ。
今タクシーを…。
いいよ。
自分で拾うから。
じゃあね。
お疲れさまでした。
タクシーがつかまらなくってね。
コーヒーをごちそうしてもらおうかな?ふ〜ん。
ああなかなかのもんじゃないか。
まあ先生のとこと比べりゃ月とスッポンだけどね。
ふ〜ん。
はっアヒルか?子供の頃からのお守りなんです。
みにくいアヒルの子が美しい白鳥になる。
アンデルセン童話にあるでしょ。
今日だけは君を見直したよ。
やめてください!困ります。
先生との事私知ってるんです。
困るんです。
面倒になる事は…。
俺なら君をスターにできる。
スターだなんて…。
女はね自分に自信を持てばきれいになれる。
輝くスターにもなれるんだ。
おやすみ。
すると西木さんはあなたと手を組もうと…。
いえそんな…。
その翌日です。
先生が房総の勝浦に行かれたのは。
房総の勝浦?総合スポーツセンターに出資をお願いしている新東洋海運の戸村社長の別荘があるんです。
戸村社長の奥様の美紀さんは先生の仲の良い幼なじみでその縁で出資をお願いしていたんです。
(戸村美紀)いらっしゃい。
(治子)うわぁ〜素敵な眺め。
ああきれいな海!美しい海は裏切ったりしないしね。
ホントいつ来ても心が休まるわ。
主人もまもなく着く頃よ。
今日は大阪の出張からまっすぐこっちに帰るって連絡があったから。
お手伝いします。
ありがとう。
ホント素敵な別荘ですね。
すべてご主人の愛情よね。
体の弱い美紀のためにこんな素敵な別荘プレゼントしてくれるなんて。
うらやましい限りよ。
大事に守ってくれる人がいて。
何言ってるの。
うらやましいのは愛あなたのほうよ。
えっ?小さい頃から病弱でスポーツにはまるで縁のなかった私に比べてあなたは元気ハツラツいつも輝いていた。
テニスの全日本で優勝した時私どんなにうれしかった事か。
あなたは私の夢なの。
憧れなの。
いつも仕事をバリバリしているあなたに私元気をもらってるのよ。
はいはい頑張ります。
ご主人にも認めてもらわなくちゃね。
あっ噂をすれば…主人帰ってきたみたい。
(戸村邦男)出資の件はまあ及ばずながら私も協力させていただきますよ。
私もかねてからスポーツ産業には興味がありましてね。
ありがとうございます。
ああ礼を言うんなら妻に言ってやってください。
あなたに協力しろとそれはもう…。
ありがとう美紀。
ううん。
愛あなたの力よ。
早速ですが今度のスポーツセンターの責任者にはこちらの黒部治子を予定しております。
よろしくお願いいたします。
はあ。
いや私はまた愛さん。
あなたが陣頭指揮をされるものだとばかり思ってましたが…。
もちろんすべての指揮は私がとりますわ。
でも今度オープンするスポーツセンターが私の最終目標ではないんです。
なるほど。
任せられるものは任せて更なる飛躍をという訳ですね。
あなたは大した事業家だ。
ああきれいな夕日。
(戸村)こんな夕日を見ると昔観た映画のセリフを思い出すな。
西部劇でねニヒルなギャンブラーが夕日を見て言うんだ。
「日が沈む。
いつも夕日と一緒に誰かが死んでいく」「今日は俺だ」縁起でもない。
ははっごめんごめん。
でもそんな気にもさせるわね。
真っ赤な太陽。
さあそろそろ帰りましょうか。
君…。
シーッ…。
私達お互いをもっとよく知る必要があると思いません?事業パートナーとして。
はははっ事業パートナー?だったらこっちにも条件がある。
まずマネージャーの西木を切る事。
それから黒部治子は責任者向きではない。
それから…。
何だか眠れなくて…。
眠れない時はこうして…ここで波の音を聞いてるの。
(富永)なるほど。
その美紀さんとかいう奥さん。
ご主人と花岡愛さんの不倫を感じ取ったように見えたんですね。
いえはっきりとは…。
それから数日後の事です。
(チャイム)悪かったね呼び出して。
失礼します。
ここしか話のできる適当な場所がなかったんだよ。
あの…お話というのは?まあとにかく座ってよ。
これ。
昨日の視聴率。
君は評判いいよ。
君の出演場面は視聴率がグーンとアップするんだ。
矢部プロデューサーも大喜び。
君の出番をどんどん増やすと言ってる。
はい。
あっすみません。
で戸村社長との会談はうまくいったんだって?はい。
どう思う?戸村社長。
新しいスポーツセンターに出資してくださる事が決まって先生も喜んでらっしゃいます。
それだけ?出資の件がうまくいった事はもちろん僕も報告を受けてる。
でも表向きの話だけじゃなく裏の話もまとまったんじゃないかと思ってね。
どうやら僕を排除する気らしい。
戸村社長と手を組んでね。
聞いてないかな?何か。
いいえ。
あるいは何かを見たか?やっぱりな。
戸村社長に誘いをかけ身を投げ出したんだろ。
彼女のやりそうな事だ。
自分の得になる男は貪欲に利用しそして利用価値がなくなったら容赦なく切り捨てる。
男だけじゃないぜ。
女もだ。
いつか君もお払い箱さ。
君をスターにしてやるよ。
花岡愛以上の。
愛テニススクールになくてはならないスターにね。
俺に任せろ。
必ず君をスターにする。
君もここまで来たからには覚悟はできてるはずだ。
違うか?私は愛先生とは違います。
何なのこれ!?千晶がメーンで私はただの解説者。
それも音声のみ!
(舌打ち)ただの添えもの以下じゃない!タイトルはこの私!花岡愛なのよ!だからこそ高所大所から解説してもらいたいんじゃないの。
今や花岡愛はテニス界の女王。
大御所なんだから。
その道の権威としてどっしり構えてればいいんだよ。
画面で動き回るのは若手に任せてさ。
実はねこれは局の矢部プロデューサーの意向なんだ。
矢部さんが?うん。
局としては柚原千晶を全面的に押し出して勝負したいんだって。
何たって視聴率がいいんだよ。
千晶の出番のとこは。
まあうちとしても新しいスターの誕生は経営戦略上悪い事じゃない。
でしょう?
(ため息)正しいストロークは正しいレディポジションから始まります。
それでは始めてみましょう。
テニスは手に頼るものではなく足でやるものだとも言われますがまさにフットワークが命です。
カット!オッケー!
(拍手)すご〜い!スターですね!生徒さん達も千晶さんのファンでもう大変。
はい。
ありがとう。
あっ…。
この嘘つき!八王子に教室を開設するなんて嘘じゃない!花絵さん話なら向こうでね。
みんなにも聞いてもらうの!この女の化けの皮をはがしてやるのよ!スポンサーに逃げられたからって八つ当たりしないでほしいわね。
そうさせたのはあなたじゃないの!花絵さん!とんだお笑いだわ。
この世界はね色仕掛けでスポンサーつかんでやっていけるような甘い世界じゃないのよ!殺してやる!花岡愛…あんたの人生も何もかも無茶苦茶にしてやる!ああっ!何をやってるんだ!
(花絵の嗚咽)私のやり方が強引過ぎる。
そう思ってるんでしょ。
だからこういう事が起きるって。
いえ…。
勝ち抜くためには強くなくちゃいけないの。
負けるのはもうコリゴリ。
私には夢があるの。
自分には果たせなかった世界に通用するテニスプレーヤーを育てるという夢。
金メダリストをね。
お嬢さん芸ではない真のテニスプレーヤーよ。
お嬢さん芸?うちのコーチ達のほとんどは子供の頃から恵まれた環境でテニスを楽しんできた人達だわ。
あの体の弱い美紀だって個人レッスンでテニスを習ってた。
まあお嬢さんのアクセサリーって訳よ。
でも私は違う。
毎日毎日日が暮れるまでひたすら素振りを続けていたわ。
私も同じようなものです。
両親を事故で亡くし体育大学を卒業できたのも奨学金のお陰ですし…。
そうだったわね。
苦労した千晶なら私の気持ちわかってもらえる?お嬢さんには負けない。
その気持ちだけでずっとこれまで闘ってきたのよ。
愛も敵が多いからな。
それに比べて君の人気は鰻登りだよ。
見てみなよこの視聴率。
僕の言ったとおりだろ。
でも何だか怖いわ私…。
何も気にする事はないんだよ。
僕の言うとおりにしてればいい。
(ため息)そういう事だったんだ。
千晶を番組のメーンにすえたのもこんな裏があったのね。
違うんです。
誤解です。
飼い犬に手をかまれるとはこの事だわ。
誰よりも目をかけてきた恩も忘れて。
しおらしい顔していい度胸よ。
クビよクビ!顔も見たくないわ。
西木あなたもよ!それはないだろう。
千晶をスターにするのは君のためでもあるんだ。
俺達の新しい事業のためには新しいスターが必要なんだよ。
そのセリフは聞き飽きた。
何よ…。
私はあなただけを信頼してやってきたのよ。
それが何?若い女の肉体に負けて私を裏切るなんて。
だったら言わせてもらうけど裏切ってるのはそっちじゃないの。
大体花岡愛の今日があるのは俺のお陰だぜ。
とにかく2人共クビよ!絶対に許さないわ。
先生!先生!先生!どうしましょう私…。
クビになんかできる訳ないんだよ。
俺だってスクールの株30パーセント持ってるんだから。
でも…。
愛の持ち株が50パーセント。
残りの株主と愛に対抗するさ。
悪いけどタクシーで帰ってくれ。
・
(車のエンジン音)
(富永)戸村社長と花岡愛さんがホテルで密会し戸村社長の奥さんが夫の車を尾行してきたと?それはわかりません。
お2人が密会する現場を見た訳ではありませんし。
ただこの2週間私が見たり聞いたりした事はこれですべてです。
いやぁご協力ありがとうございました。
あっもう1つこの写真を見てもらいたいんですが。
凶器に使われたこのグリップテープ滑り止めに使うそうですが愛テニススクールで仕入れているものではないそうですね。
指紋はもちろんきれいにふき取られております。
他に心当たりありませんか?いえ私には…。
(石塚)北川花絵。
戸村美紀。
西木岳夫。
ガイシャに恨みを持つ人間が多過ぎますね。
すると戸村社長だって出資話の食い違い不倫のもつれ合いがあったかもしれません。
それから秘書の柚原千晶。
(富永)まだ何か隠しているようだな。
〔あなたこの私を花岡愛を踏み越えスクールを乗っ取ろうと考えてる〕〔そうなんでしょ?〕この度は残念な事でした。
ご丁寧にありがとうございます。
本当にまだ信じられなくて…。
こちらです。
皆さんのお陰で無事に葬儀を終える事ができました。
今は悲しみにくれる事より先生のご遺志を継いで愛テニススクールをこれまで以上に発展させる事こそ我々に残された使命だと思います。
そこで早速ですが後継者を選ばなければならない。
組織の動揺を起こさないためにも早ければ早いほどいい。
皆さんご承知のように私は愛先生がスクールを始めた頃からのパートナーだ。
という訳で私に後継者を指名させていただきたい。
柚原千晶彼女を後継者に指名します。
(ざわめき)すっごい…!柚原千晶こそ愛テニススクールの新しい広告塔としてふさわしい。
(田村早苗)ちょっと待ってください。
確かに千晶さんは若くてテレビでも顔が売れています。
でも若けりゃいいってものではありません。
もっとふさわしい人が他にいくらでも…。
例えば?ヘッドコーチの黒部治子さんです。
治子さんはスクール創立当時からのメンバーですし人望もあります。
これまでだって愛先生の片腕としてずっと指導してこられたんですから。
(拍手)ちょっと待って。
私を推してくださるのはうれしいんだけどでも今大事なのは愛先生の死によるイメージダウンを回復し新しく生まれ変わった愛テニススクールを世間に見せる事だと思うの。
その意味でも若くて人気上昇中の千晶さんは適任だわ。
私は西木さんの提案に賛成です。
後継者は柚原千晶さんにお願いしましょうよ!
(拍手)では異議なしという事で柚原千晶を後継者に決定します。
ありがとうございます。
私に務まるかどうか自信はありませんが皆様のお力を借りて精一杯務めさせていただきます。
(拍手)テレビで売り出し中の若い娘を代表に担いだそうだな。
そう君の思うどおりにいくかな。
スクール株の持ち株は花岡愛が50パー。
西木君君が30パー。
君達はどちらかが死亡した場合株はもう一方が相続するという遺言書を交わしていたというじゃないか。
何がおっしゃりたいんですか?花岡愛の死によって利益を得たのは西木君君だ。
何しろ80パーの株を手にする事ができるんだからな。
だったらどうだっていうんです?まさかこの僕が愛を殺したとでもおっしゃるんですか?ふっふっ…冗談じゃない。
ご自分のほうこそ何かおありなんじゃないんですか?何?戸村社長さんでいらっしゃいますか?ああ。
ちょっと話を聞きたいんですが。
私は逃げも隠れもせん。
誰かと違ってやましい事は何一つしてない。
(富永)殺害された花岡愛さんと最後に会ったのはどうやらあなたのようですね。
事件当夜ホテルで会われていますよね?ルームサービス係があなたを目撃しています。
失礼ですが血液型は?AB型ですよ。
遺体には性交渉の痕跡がありましてね。
血液型はAB型でした。
DNA鑑定をすればさらに特定されるはずです。
確かに彼女とはホテルで会いました。
だが私は殺してはいない。
彼女と新しい事業で手を組む事になってたんですよ。
殺す理由がない。
しかしあなたには奥さんがいらっしゃる。
いわば不倫の関係ですよね。
何もかも話します。
話しますからどうか家内には内分に。
あの夜彼女は荒れてました。
あの2人クビにしてやったわ。
2人?西木と千晶よ。
あの2人絶対許せない。
妬いているのか?まさか。
手を組むに当たってこちらも調べさせてもらった。
西木と君との関係も承知してる。
私が頼れるのはあなただけなのよ。
わかってるでしょ。
(携帯電話)君のだ。
(携帯電話)もしもし。
今さら話す事なんかないわ。
西木か?今さら話し合いたいだなんて虫がよすぎるわよ。
ふふふ…妙なしこりは残さんでくれよ。
ビジネス第一だ。
(ため息)もう一回会って話つけてくるわ。
待ってて。
電話があってホテルを出たのがそう9時頃。
それっきり彼女は戻っては来ませんでした。
確かに電話しましたよ。
それで会ったんですね?花岡愛さんと。
横浜のテニススクールの社長室でね。
社長室で?そうです。
解雇を取りやめてもらうように頼みました。
(富永)そして揉み合いになった。
違います。
実は花岡愛さんの右手の爪の間から犯人のものと思われる皮膚が発見されましてね。
恐らく抵抗した際引っかいたもんでしょうなぁ。
皮膚の血液型はB型。
西木さんあなたの血液型もB型でしたよね。
先ほど社長室で会ったと言われましたがロッカールームの間違いじゃありませんか?社長室です。
間違いありませんよ。
何なんです?これじゃまるで犯人扱いじゃないか。
僕は愛を殺しちゃいない。
神に懸けて断言できますよ。
外れましたねぇ。
まあ署のほうで…。
西木さんの持ち株30パーセント。
・
(チャイム)西木さん!?水を1杯。
警察は俺を疑ってる。
そんな…。
愛の爪の間からB型の皮膚が発見された。
B型…!俺にはアリバイもない。
花絵さんも確かB型…!北川花絵が?はい。
北川花絵…。
大丈夫ですよ西木さん。
DNAの鑑定結果が出れば西木さんの無実はきっと証明されますよ。
きっと。
そんな事言ってくれるのは千晶だけだ。
私信じてますから西木さんの事。
千晶…。
あっ…。
千晶…。
お前と俺はもう運命共同体なんだ。
2人で手を組んで事業の拡大総合スポーツセンターを造り上げるんだ。
2人で夢を実現するんだよ。
なあ千晶。
ああ…ごめんなさい。
私仕事でしたらどんな事でも西木さんについて行きます。
ですから…ですからお願いです。
このまま帰ってください。
お願いします。
「私は愛先生とは違います」か…?わかったよ。
今夜は帰ろう。
でもこの俺なしじゃ何もできないんだからね。
わかってるね。
万事順調です。
そう。
これからは私達若い世代の時代よ。
いろいろと厳しい事もあるだろうけど頑張りましょ。
何かあったらすぐお耳に入れますから。
頼りにしてるわ。
ああこの融資契約書。
何か問題でも?どうも不安でね。
戸村社長とどんな約束をしてたのか…。
これは登記所を調べる必要があるな。
それは心配ないと思いますよ。
愛先生の実印や社印は秘書である私が管理していたんですもの。
いくら戸村社長でも勝手な登記はできないわ。
それはそうだが…。
(和美)出資者ですか?元々愛先生と西木さんが50パーセントずつ出資して始めた事業なんだけど現在の西木さんの持ち株は30パーセント。
残りの20パーセントは資金難の都度切り売りしてきたらしいの。
その20パーセントを誰が持っているのか調べてほしいの。
はい。
くれぐれも内密にね。
千晶さんのためなら私一肌でも二肌でも脱いじゃいますよ。
ありがとう。
じゃあ明日からは房総の合宿の準備に出かけるからよろしくね。
はい。
はあー!やっぱり空気が違うわね。
ここでの合宿なら受講生にも満足してもらえそうだわ。
ええ。
・
(バイクの音)花絵さん!しばらく。
後継者に決まったんですって?うまくやったわね。
つけてきたのか?わざわざ嫌みを言うために。
たまたま行く方向が同じだっただけ。
それだけよ。
警察が捜してるぞ。
警察?私が犯人だと言うの?確かに恨んでたけどでも殺したのは私じゃないわ。
だったら警察に…。
その前にやる事があるのよ。
ちょっとお話が…。
実はDNA鑑定の結果が出ましてね。
花岡愛さんの爪の間から採取された例の皮膚西木さんあなたのものと一致しましたよ。
確か右腕に傷がありましたよね?すべてをお話しするしかないようですね。
確かにあの夜激しい言い争いになりましたよ。
何度同じ事を言わせるのよ。
クビはクビよ!もう一度考え直してくれよ。
おいっ。
君とは16年の仲じゃないか。
えっ!?何よ私にぶら下がってるヒモ同然のくせして千晶なんかに手を出して!顔も見たくないわ。
千晶の事は誤解だって言ってるだろ!そういう自分のほうこそどうなんだよ?ええっ!スポンサーつかまえるためなら友達の亭主と寝るのも朝飯前か。
あなたに言われる筋合いはないわよ!何するんだよ…?何するんだよ!離して!何?この裏切り者!裏切り者はどっちだ!ああー!
(西木)確かにあの時殺意があった…。
ああー痛っ!その時誰かが部屋をのぞいて立ち去ったんです。
まあお陰で我に返り殺人をしなくてすみましたけどね。
誰だか知りませんが社長室をのぞいたその謎の人物が愛を殺したに違いありませんよ。
謎の人物ね…。
言い争ったのは社長室。
遺体が見つかったのはロッカールーム。
しかも遺体が身に着けてたのはテニスウエア。
謎の人物なんか持ち出したりして苦し紛れの嘘に決まってますよ。
うん。
謎の人物?心当たりと言われましても…。
このグリップテープですがね。
その後の調べで事件前同一ブランドの物を北川花絵さんが注文していた事がわかったんですよ。
彼女が退職する前日の午前1ケース注文しその日の午後の5時頃業者が届けてるんです。
でもあの日は花絵さんちょっと愛先生と揉め事がありまして。
グリップテープぐらい好きなもの選ばせてください。
確か5時前には帰ってしまったはずですが…。
そのようですね。
それで業者は花絵さんのロッカーの上に置いて帰ったそうですよ。
まさか翌日に退職するとは思わないでね。
じゃあロッカーの上に置きっ放しで…。
それが凶器になった訳ですか?恐らく。
残りのグリップテープとケースは現場に残されておりませんでした。
恐らく犯人が持ち去ったんでしょう。
だとしたら犯人は少なくとも花絵さんではないですね。
そうよね。
いくらケースを持ち去っても花絵さん愛用のグリップテープは首に巻きついているんですもん。
でもねぇ…。
花絵さんも言ってました。
犯人は私じゃないって。
いつ会ったんですか?あっはい…。
彼女はどこにいるんですか?ついさっきここのホテルの前で…。
ここの所轄に応援を頼もう。
はい。
北川花絵を捜すんだ!
(電話)柚原です。
(電話の切れる音)ねえちょっと話し合ったほうがいいんじゃないかしら。
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
ご苦労さん。
この方が第一発見者です。
あなたがねぇ…。
朝の散歩に来てたまたま見つけたんです。
散歩ねぇ…。
今のところ断定はできませんが北川花絵は崖から足を滑らせ転落したものと思われます。
転落…!?という事は自殺ですか?私共地元署ではそう見ておりますが…。
自殺…。
愛を殺した罪にさいなまれて死を…。
で念のためにお伺いしますが皆さん昨夜は外出なさいましたか?いえ夕食後はずっと自分の部屋におりました。
私はラウンジでコーヒーを…。
でもその後はずっとお部屋のほうに。
もちろん僕も出かけてません。
ずっと部屋にいました。
西木さん署のほうでもう少し事情をお聞きしたいのですがご足労願えますか?
(富永)西木さん。
信じられないわ。
花絵さんが自殺だなんて…。
私ちょっと気になる事が…。
昨夜ね私見ちゃったのよ。
西木さんがこっそり出かけて行くの。
それなのに何で刑事さんに嘘を…?まさか…。
まさかよね?西木さんには花絵さんを殺す理由がないもの。
ごめんなさいね。
つまんない事言っちゃって。
あっううん。
私も子供の頃よく独りで作ったわ。
けど作っても作っても波に崩れて…。
その度に幸せや夢も壊れていくようで子供心に何だか悲しかった…。
千晶さん…。
砂の城…そんな喪失感みたいなもの誰でも一つや二つ胸のうちに持っているのかもしれないわね。
あら私だってそれくらいの思いわかるわよ。
そりゃ経済的に恵まれて育ったけど大学生の頃に両親は離婚しちゃったし。
そのせいかもね。
揉め事が起きそうになると間に入ってヤキモキ心配しちゃうの。
うふふふ…。
第一発見者を疑えか…。
警察もしつこいよ。
お気の毒だわ。
合宿のほうは?すべて順調です。
千晶は?海のほうじゃないかしら。
ああ…。
東京でまた事情聴取だ。
東京でまた?改めて事情を聞きたいと言われたよ。
新しい事業を軌道に乗せなきゃいけないこの大事な時に…。
このままじゃ愛テニススクールの存続も難しい。
戸村社長にお願いしてみては?戸村社長…?愛先生の持ち株分を買い取っていただくんです。
その資金があれば何とか乗り切れます。
しかしなぁ…。
もちろん西木さんには持ち株の30パーセントを今までどおり持っていただければ…。
それに愛先生の色を消して私が表舞台に立ついいきっかけにもなると思うんです。
なるほど。
この際千晶の案に乗るしかなさそうだな。
しかし戸村か…。
私西木さんの無実を信じてます。
でも…。
でも何だい?1つ訊いてもいいですか?昨日の夜こっそり出かけたのを見たという人が…。
誰が?まったく油断もすきもないなぁ。
ちょっと散歩に出てたんだよ。
花絵さんとは?会う訳ないだろう。
千晶お前俺を疑ってるのか?俺が花絵を崖から突き落としたとでも?冗談じゃないぞ!怒らないでください。
愛先生と最後に会って口論になった時ドアから誰かのぞいていたって言ってましたよね?ああ。
そうだ。
あの時香水の香りがした。
愛のものとは違う甘い独特の香り…。
もし…その人が花絵さんだったとしたら…。
俺が愛を殺しその目撃者の花絵も口封じのために殺した。
そう言いたいのか?私は可能性を言ってるんです。
俺は誰も殺しちゃいない。
愛も花絵も!誰も殺しちゃいない!殺してない。
だから何度も言ってるじゃないですか。
北川花絵の死体を発見したのはたまたま散歩をしてたら…。
たまたまね。
あなた花岡愛さんとも揉めてましたよね?それも激しく。
それは認めてるじゃないですか。
何度言やいいんだ…。
いいですか?僕は誰も手にかけちゃいない!不幸な事になった愛さんの供養のためにも私も全面的に協力させてもらうが1つ条件がある。
妻の美紀を取締役に入れてスクールに戸村の名を入れてほしい。
わかりました。
君は新たな戸村テニススクールのヒロインだ。
(生徒達)お疲れさまでした。
サインお願いします。
はい。
お願いします。
はい。
すごい人気ね。
はい社長さん。
もう治子さんまで…。
何言ってるの。
今や正真正銘の社長じゃない。
あなたの人気で生徒さんだって増えてるし。
もっと自信持って大威張りでいてちょうだい。
はいはい。
社長うちのスクールの株20パーセントを握っているのはLI不動産という会社でした。
LI不動産…?はい。
東京にある不動産会社でして社長の名は三上健一郎といいます。
聞いた事のない人ね。
念のため詳しく役員構成を調べてみてちょうだい。
はい。
LI不動産?どうぞ。
ありがとう。
治子さんスクール創立以来のスタッフだし何かご存じかなと思って。
さあ…私はテニスだけでそういう方面には疎いから…。
15年の間に少しずつ切り売りしてきた株がLI不動産一社に集まっているのも妙だしLI不動産が乗り出してきたのはここ半年の間なんです。
半年…。
単なる投資目的ならいいんですけど何か別の目的のための名義だけの会社という事もあるし…。
そうねぇ…私にはよくわかんないけど。
ごめんなさいね力になれなくて。
社長そろそろテレビ局へ行くお時間です。
人気番組のゲストですって?頑張ってね。
はい。
もうドキドキで自信ないんですけどね。
はいどうもお疲れさまでした!お疲れさまでした。
お疲れさん。
お疲れさまです。
これでレギュラー番組のほうもますます人気だな。
その節はいろいろとお世話になりました。
いやいや。
いろいろ大変だったな。
西木ちゃんまだ警察に呼ばれてんだろ?大丈夫なんだろうね?ええ…。
ご心配をおかけして申し訳ありません。
それならいいんだが…。
それにしても誰が花岡愛を…。
(車の音)美紀さん…!?美紀さんを疑ってるの?疑いたくはないんですけどでももし愛先生を恨んでたとしたら…。
でも…。
やっぱりあの時愛先生が戸村社長の書斎に入って行ったのをご存じだった…。
眠れない時はこうしてここで波の音を聞いてるの。
だからご主人と愛先生との不倫現場を確かめようとご主人を尾行してあのホテルへ…。
美紀さん幼なじみの親友にご主人を奪われて許せなかった。
確かに許せない。
ショックだったと思う。
でもだからといって殺人まで…。
それに香水の事もあるんです。
香水?西木さんの話によると愛先生と争っているのを見ていた謎の人物甘い香りの香水をつけていたそうなんです。
甘い香りの香水を?私達コーチは汗をかくから香水をつける習慣はないわね。
愛先生は別として。
別荘をお訪ねした時美紀さん甘い香水の香りが。
確かに甘い独特の香りが…。
ホントに1人で大丈夫?1人のほうがあちらも構えたりしないと思うの。
治子さんはホテルで待っててください。
了解。
何かあったらすぐ連絡してね。
突然で申し訳ありません。
(美紀)ううんあなたならいつでも歓迎よ。
主人ねめずらしく釣りに出掛けてるの。
夕食のお魚は任せておいてくれって。
そうですか。
素敵な香りですね。
奥様の香水。
そう?私ね気に入るとしばらくは同じものを使い続けてしまうの。
あの晩もつけてらしたんでしょうか?その香水。
えっ…?愛先生が殺された晩…。
あの晩横浜のスクールで愛先生が殺される前に争っているのを見た謎の人物がいるんです。
その謎の人物は甘い独特の香りの香水をつけていたそうです。
それが奥様のと同じ香水だったかどうか確かめてもらえばわかる事なんですけど…。
ちょっと待って。
あの晩私横浜のスクールへなんか行ってないわ。
第一たとえ私と同じ香りの香水だったとしてもなぜそれが私のものだって西木さんに断定できるのかしら?どうして西木さんだと?私は愛先生が争っていたとは言いましたけど西木さんの名は出していません。
あの晩争いを見ていた人物はやはり奥様だったんですね。
私奥様のやむにやまれぬ胸のうちわかってるつもりです。
ほんのはずみだったの。
はずみだったのよ…。
あなたと愛がこの別荘に泊まった晩愛が夫の部屋に入っていく姿を見ていたたまれなくなって私庭に出たの。
幼なじみの親友の夫を誘惑するなんて…許せなかった。
だからあの夜ご主人の車をつけて横浜のホテルへ?ええ。
さすがに2人の現場に乗り込むのもためらわれてどうしようかと迷っていたら愛が1人で出てきたの。
そのタクシーをつけていくと愛は横浜のスクールで降りて中へ入って行った。
話をつけようと思って後を追って愛を探すと社長室から言い争う声が聞こえてドアを開けてのぞいてみたの。
何すんだよ!離して!裏切り者!裏切り者はどっちだ!暗がりに息を潜めて隠れていると西木さんは帰って行き愛はロッカールームへ向かったの。
苛立った気持ちを晴らすためにコートでボールを打つつもりだったんですね…。
美紀…どういう風の吹き回し?こんなとこにあなたが来るなんて。
理由はわかってるはずよ。
失礼よこんな時間に。
お嬢様育ちの奥様の自分勝手に付き合っている暇はないのよ。
待って!ねぇ待って!自分勝手なのはどっちなの?私の夫に手を出して…。
それが長い付き合いの親友のする事なの!?ふふふ…いい機会だから言っとくけど私あなたの事親友だなんて思った事一度もないの。
小さい時私はすり切れたカーディガンを着てたけどあなたは子供のくせにフワフワの毛皮のコートに包まってた。
そんなの親友だと思える?それに戸村さん言ってたわよ。
私とこういう関係になったのも体の弱いあなたには女としての魅力がないからだって。
私とこういう事になったのもあなたのせいなのよねぇ。
何ですって!?さあどいて。
ちょっと待ってよ愛!あっ…。
愛?ううっ…。
(美紀)もう夢中で…。
愛が一言謝ってくれたら…。
謝ってくれたら殺さずにすんだのかもしれない…。
そしてテープとリボンの指紋をぬぐいテープの箱を…。
私…警察行きます。
警察に行って何もかも…。
あなた…。
君をそこまで追い詰めていたとは…。
ごめんなさい…。
ごめんなさい…。
悪いのは私だ。
許してくれ。
美紀を…妻を警察に突き出す訳にはいかない。
この事を知ってるのは?私だけです。
私の沈黙を買いたい…そういう事ですね?ダメよ。
そんな事ダメ。
私自首します。
自首しなければ…!美紀落ち着きなさい。
いくらだ?いくら払えば黙っててもらえる?私は妻を守りたい。
守ってやりたいんだ。
私の裏切りが原因なんだから…。
本当に守りたいのはご自分…なのですね。
いくらなんだ?お金はいりません。
はあ…君の狙いは何だ?代表権をください。
そして計画どおり新しい総合スポーツセンターに出資していただきます。
決して損なお話ではないと思います。
奥様がこのまま自首なさればスキャンダルは目に見えています。
新東洋海運そのものへの支障も大きいのでは?はっはっはっ…。
いや君は大した女性だ。
ああ君が代表なら新しい総合スポーツセンターはうまくいく。
はははは…。
(携帯電話)はい。
例のLI不動産の件なんですが意外な事がわかったんです。
意外な事!?
(激しい波音)やっぱりここだったんですね。
あらもうすんだの?ホテルで待ってる約束だったけどブラブラ来てしまったの。
LI不動産の事詳しい事がわかったんです。
社長の名前は三上健一郎。
治子さんのご両親大学時代に離婚なさったんですよね。
ご養子だったお父様は黒部家を出て旧姓に戻られた。
名前は三上健一郎。
LI不動産の社長は治子さんのお父様だったんですね。
どうして知らないと嘘を…。
父親の会社を隠れみのにスクールの株を買い集めスクールを乗っ取るつもりだった。
違いますか?そうそのとおりよ。
半年前から父親に頼んで密かに株を買い集めていたの。
なぜです?治子さんは愛先生とうまくいってたのに…。
ずっと騙されていたのよ花岡愛に。
それがわかったのが半年前。
一体何があったんです?16年前現役のプレーヤーだった私は花岡愛とライバルだったの。
日本代表の座を争う大事な試合の前私は殺到したファンをよけようとして階段から転落重傷を負ってしまって…。
結局日本代表に決まったのは花岡愛だった。
その1年後花岡愛は西木さんと組んで愛テニススクールを創立し私もチーフコーチとして呼ばれたわ。
私の実績指導力を見込まれたんだ呼んでくれた愛さんのためにも頑張ろう!そう思ってずっとやってきた。
でも違ってたの。
違ってた…?半年前手紙が来たのよ。
16年前の事故あれは花岡愛が仕組んだものだった。
花岡愛に買収されて私を突き落としたってファンからの懺悔の手紙…。
私をコーチに呼んだのはケガをさせたのが後ろめたかったから。
実力を買われたんでなく同情を買われていたなんてそんなのたまんない…。
私のプライドが許さないわ。
それで愛先生はその手紙の事実を認められたんですか?認める訳ないわ!知らない関係ないの一点張りで…。
それどころかあなたが今あるのは誰のお陰って開き直るのよ。
それで乗っ取りを企てたんですね。
そのうえ新しいスポーツセンターの責任者に私をって話だったけど外されたのよ。
私と西木さんを外す事が戸村社長が出資する条件だからって。
創立以来スクール一筋に貢献してきた私を切り捨てて。
いい人いい人って言われるのにも限度があるわ。
あなたならこの悔しい気持ちわかるでしょ?スクールを実際に動かしてたのは私やあなた。
花岡愛はお飾りの広告塔もいいとこなのに。
一方的に責任者を外すと言われて我慢ならなかったしとにかく話し合おうと思ってスクールに行ったの。
まさかそこで…?そう…見たのよ私。
美紀さんが花岡愛の首を絞めるのを。
殺してしまったと思い込んで美紀さんは逃げ出したけど花岡愛は死んでなかった。
気がついたら私…。
あの時は無我夢中で…。
長年抑えてきた積もり積もった思いが…。
治子さん…。
あなたももう察しているとおり花絵さんをここから突き落としたのは私よ。
彼女は花岡愛を殺したのは私じゃないかってゆすってきたの。
でもなぜ治子さんを犯人だと?彼女知ってたのよ。
ファンから懺悔の手紙が来た事で私と花岡愛が揉めてた事。
(花絵)ねえ…。
ちょっと話し合ったほうがいいんじゃない?前にも言ったけど私聞いてしまったのよね。
16年前あなたと花岡愛に何があったか。
うふふっ警察が知ったらおもしろがるんじゃない?それで指定されたこの場所に来たのよ。
お金は持って来たんでしょうね?まずは500万。
あなたに渡すお金はないわ。
何ですって!?ああっ!えい!あっああー!!私はもう後戻りできないの。
すべて知られたからにはあなたも生かしておく訳にいかない。
・
(パトカーのサイレン)あなたね…あなたが呼んだのね!
(咳込み)罪を…罪を償ってください…。
(咳込み)罪を…。
・
(富永)黒部治子!
(富永)花岡愛北川花絵殺害容疑で逮捕する!うわっ…!ふふ…。
あら西木さん!
(拍手)お見事〜。
着々と進んでいるようだね。
今までどこに?警察で勾留されてた汚れを洗い落とすのに時間がかかっちゃったよ。
で俺の席は?この新しい会社西木さんがいらした頃の会社とはまるで別の会社なんですよ。
別の会社?戸村社長が全面的に出資してくださって。
戸村社長ねぇ…どうやって取り入ったんだ?それはあなたには関係ない事。
おい千晶…。
その呼び方もやめてくださいね。
私は代表取締役。
あなたの言いなりになっていた以前の私とは違うんです。
何だって…?まだおわかりにならない?西木さんあなたの場所はもうここにはないんです。
そうか。
そういう事か。
いじめられてたアヒルの子が見事な白鳥になった訳だ。
最初から計算ずくだった訳だ。
虫も殺さないような顔をしてすべて仕組んだんだな。
仕掛けたのは西木さんあなたじゃないですか。
私は教えられたとおりに動いただけ。
・
(ノック)・
(和美)失礼します。
西木さんならもうお帰りよ。
社長お車のご用意ができましたが。
ありがとう。
すぐ行くわ。
待てよ。
まだ話は終わっちゃいない。
時間がないの。
お陰でいい勉強させていただきましたわ。
お元気で。
ふふっ…。
近いうちにお会いしたいと思います。
ぜひ。
車も人通りも少ない場所
そこにポツンと建つ1軒のお店
2015/07/22(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
テニススクール殺人事件[再][字]
コートの女王が殺された!嫉妬、不倫、愛欲、裏切り…女たちの艶やかな殺意、最後に笑う女は!?
詳細情報
◇番組内容
華やかなテニススクールを舞台に愛憎が渦を巻く!豪華女優陣の華麗なる競演!!
◇出演者
田中美里、西村和彦、川島なお美、秋本奈緒美、田中健、野村真美、越智静香、楊原京子、赤塚真人、小林健 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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