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 戦後、住宅などに使われてきた旧陸軍の高射砲台跡が、大阪市東淀川区にある。70年前、米軍機を撃ち落とそうと、兵士らが空を見上げていた場所だ。当時は高射砲6門が扇状に並び、1個中隊約150人が配属されていたという。

 今は砲台2基が残り、うち1基は市道建設のため取り壊しが予定されている。

 2004年に市教委が始めた調査で、市民グループ「戦争遺構研究会」の柴田正己さんは元兵士への聞き取りを重ねた。「歴史に残るのは大きな出来事だけ。人びとの生活や戦争のリアルこそ、明らかにしたいと思った」と話す。

 聞き取りがきっかけで、砲台を訪れた元兵士がいた。年賀状のやり取りを続けた人もいた。それもこの数年間で途絶えた。「戦争の記憶は人から場所へと移ろっている。だからこそ貴重な遺構を残したい」と願う。(写真・文 内田光)