ハワイ:望遠鏡工事、また中断 「神聖な場所」地元が抗議

毎日新聞 2015年07月03日 11時28分(最終更新 07月03日 11時46分)

 日米など5カ国が米ハワイ島マウナケア山頂付近に建設する世界最大の望遠鏡「TMT」が、反対住民らの抗議活動で本格工事に入れないでいる。6月下旬には2度目の逮捕者が出て約3カ月ぶりの工事が中断に追い込まれた。再開の見通しは立っていない。

 マウナケア山頂は天候や大気の影響が少ない天体観測の適地として知られ、各国の研究機関の望遠鏡が10基以上ある。日米などは直径30メートルの主鏡を持つTMTをここに新設し、2021年度の稼働を目指している。

 国立天文台やハワイ州土地天然資源局などによると、3月末に本格工事が始まったが、直後の4月2日に「山頂付近は神聖な場所。建設は環境破壊につながる」との抗議活動が高まり、19人が逮捕され作業を中断。関係機関が協議して6月24日の再開を決めたが、道路に石が置かれるなどの抗議行動がまた起き、11人が逮捕され、工事に入れなかった。

 計画に参画する国立天文台の渡部潤一教授は「法的に問題はなく、地元住民への説明や対話も数十回重ねてきた。これまで説明会に参加していない人が反対しているようだ」と話す。

 ハワイ州のイゲ知事は、同山頂にある天文台施設の縮小を各国に求める一方、TMT建設については「市民らを危険にさらすことなく計画を前進させる方法を見付けようと努めている」と、認める立場を取っている。【須田桃子】

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