ビジネス、スポーツなど、ジャンルを問わず一流と呼ばれる人物は、往々にして凄まじい量のインプットを行います。インプットして得た良質な情報を、自身の行動やマインドを洗練させるアウトプットとして活用する・・・。
ウェブ全盛の現在でも、良質なインプット源の代表といえば、書籍!今回は古今東西の一流と呼ばれる人物が愛読する本を21冊集めました。もちろん彼らと同じ読み方、インプットができるとは限りません。しかしそれでもまずは一冊、読んでみる。そこから一流の人物がどのような思考と嗜好を持っているかトレースしてみませんか?
海外の超有名ビジネスパーソンの愛読書
『新訂 孫子』
孫子の兵法といえば、中国の古代における戦術指南書であり、数千年も読み継がれてきた不朽の名著です。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」をはじめ、「戦」を「商売」に読み替えれば、あっという間にビジネス書に早変わりする名句であふれています。
『銀河ヒッチハイク・ガイド』著:ダグラス・アダムス
1978年のBBCラジオドラマ「銀河ヒッチハイク・ガイド」を小説化したもの。主人公たちが宇宙でヒッチハイクをする抱腹絶倒のSFコメディ大傑作です。同氏はこの物語のポジティブさから正しい疑問からは正しい答えが生まれることを学んだのだそうです。
『国家』著:プラトン
紀元前のギリシャの哲学者にして、ソクラテスの弟子であったプラトンが書き記した「国家とは何か」を論じた対話篇。この大テーマを論じる上で、同時に本書の中核をなすのが「統治者とはどうあるべきか」というテーマです。数千年にわたって読まれてきた珠玉のリーダー論のうちの1冊です。
『エンダーのゲーム』著:オースン・スコット・カード
ヒューゴー賞・ネビュラ賞という2大SF文学賞を受賞した、天才少年エンダーの成長を描いた作品です。もちろんSFとしても不朽の名作ですが、宇宙人と戦う人類の戦闘部隊の組織や、エンダーのリーダーとしての振る舞いなどは、ビジネスに通じる部分があります。
『ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質』著:ナシーム・ニコラス・タレブ
「不確実性科学の大学教授にして、トレーダーの鬼才」である著者が、トレーダーたちの掲げる金融工学なるものの根本的な欠陥を暴き立てた著書。金融システムや経済が本来抱える不確実性を自覚し、その上で経営的判断を下すという「覚悟」をせまられます。
『Wabi-Sabi わびさびを読み解く』著:レナード・コーレン
「いき」とは何かを徹底して考え抜いた九鬼周造の『いきの構造』を彷彿とさせるアメリカ人筆者が書いた「わびさび」の構造を解明しようとする本です。ワールドワイドなビジネスシーンにおいて自分が日本人であるということは常に意識しなくてはなりません。しかし果たして日本人とは?そのヒントが見つけられること請け合いの1冊。
『富の福音』著:アンドリュー・カーネギー
100年以上読み継がれる永遠の名著。米国の鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーが成功者のための富の使い方をしめした本です。いわく、成功者は自分の能力が残っている間に引退し、資産を慈善事業のために使うべし。「そんな金余ってないよ」と思うかもしれませんが、自分のお金の使い方を洗練させるためにも読んでおきたい1冊です。
トレースしやすい?国内の著名実業家の愛読書
『龍馬がゆく』著:司馬遼太郎
土佐の地から日本全体を巻き込み、江戸治世をひっくり返すまでの潮流の根源を作った男、坂本龍馬の一生を描いた司馬遼太郎渾身の作品。数々のメディアミックスも行われています。孫正義氏は15歳の時にこの本に出会い、自分の人生を志高く生きるためには、行動を起こさねばならないと悟ったのだそうです。男としての生き方を学ぶために読んでおきたい作品。
『プロフェッショナルマネジャー』著:ハロルド・ジェニーン
「企業家精神は大きな公開会社の哲学とは相反する」など独自の視点がちりばめられた、かつての米国巨大コングロマリットITT社長兼CEOを務め、58四半期連続増益を成し遂げた著者の経営論です。2004年に復刊した際に、柳井正氏は帯文だけでなく巻末に解説をもつけています。経営者としてどうあるべきか、リーダーになるにはどうあるべきかが学べる1冊。
『死ぬことと見つけたり』著:隆 慶一郎
江戸中期に書かれた武士道の指南書『葉隠』を物語化した隆慶一郎の代表作。自らの思い描く「死」のためにひたすら奔放苛烈ないくさ人であろうとする主人公たちの生き様を描いています。三木谷浩史氏はこの作品から、人生を死から逆引きで考えることで、目の前のリスクをとるべきかとらざるべきかの判断の仕方を学ぶことができると言います。
『戦争論』著:クラウゼヴィッツ
18世紀末生まれのプロイセン王国軍人・軍事学者であるクラウゼヴィッツが、残した研究と著述を死後まとめた作品です。近代戦を緻密に分析し、戦争の本質を冷静に論じており、一種西洋近代における『兵法』的な1冊と言えます。西洋近代科学の時代に書かれたものだからこそ、古代中国とは違った視点から戦争を論じています。そしてこの著作もまた、戦争を商売に置き換えるだけで、一流のビジネス書となるのです。
『ビジョナリーカンパニー』著:ジム・コリンズ、ジェリー・ボラス
アメリカの主要企業の経営者に対するアンケートによって選出された18社の決断の歴史を斜め読みできる、コンサルタント兼大学教授を務めるジム・コリンズが手がけた1冊。翻訳本では全4巻にまとめられています。経営者として、あるいはリーダーとして決断をせまられるシーンは少なくありません。その時歴戦の経営者たちは何を思い、何を選んだのか。それが一挙に学べるリーダー必携の書です。
『思考停止社会ー「遵守」に蝕まれる日本』著:郷原 信郎
私たちは本当に自分の目で見て、自分の頭で考えているのか。「法令遵守」の御旗のもとで偽造・隠蔽・捏造・改ざんのレッテルを貼られた企業を実名であげながら、日本社会の思考停止を暴きます。情報を享受しているだけでは成長はできない、というビジネスマンとして知っておくべき思考を学べます。
『ホリスティック・カウンセリング』著:帯津良一、大須賀克己
豊富な臨床経験に基づいて、がん治療への心理療法の有効性について簡単な言葉を使って論じています。一見するとビジネスに関係のないように思えますが、欧米ではトップクラスのマネージャーがカウンセリングを受けるのは常識。利益最優先のビジネスの世界に身を置くからこそ、知っておきたい真逆の価値観の世界を垣間見ることのできる1冊です。
日本のレジェンドビジネスリーダーの愛読書
『菜根譚』著:洪自誠
中国民代末期に儒教・仏教・道教を修めた著者が、自らの人生経験をもとに得た人生哲学を記した古典。「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」。菜根は堅くて筋が多いからこそ、味わい深い。伝説的経営者たちがこぞって愛読したのは、こういった「人としてどうあるべきか」の本でした。
『堕落する高級ブランド』著:ダナ・トーマス
『ヴォーグ』『ニューヨーカー』などに寄稿するファッション・ジャーナリストである著者が、『高級ブランド神話』の栄光と矛盾を描いた作品です。高級ブランドは「高級であるから」高級ブランドなのか、あるいは内実の伴った「ブランド」だからこそ高級ブランドなのか。ブランディングを考える上で重要な哲学が学べます。
『成功の実現』述:中村天風
東郷平八郎、宇野千代、稲盛和夫など数多くの偉人が師事した日本の大人物、中村天風が記した多くの本のうちの1冊。いわく「積極的な言葉をつかう習慣をつくりなさい」。ビジネスシーンのみならず、人としてどのような心構えを持って生きるべきかを示してあります。
国内の注目若手経営者の愛読書
『無縁・公界・楽』著:網野善彦
日本史の「常識」を次々とひっくり返した著者が独自の視点で捉え直した、近代から古代までの日本人の価値観の変遷を描いた画期的な名著です。都市や文化、貨幣経済といった近代を形成したものが、実は貴族・侍・農民といった定住者ではなく、土地を持たないノマド的な存在から生まれたことを知れば、クリエイティビティとは何かというヒントになるかもしれません。
『日本語が亡びるとき』著:水村美苗
小林秀雄賞受賞作。明治期以降、西洋と接したことで元来あった日本語は豊かな近代文学を生んできました。しかしそんな日本語が「グローバル化=英語化」していくなかで徐々に変質し始めている。言語としての大きなターニングポイントにある日本語を考えることで、改めて日本人ビジネスパーソンとしての自分を見つめ直すきっかけが得られる本。
影響力大!なアスリートの愛読書
『武士道』著:新渡戸稲造
1900年にアメリカで英語の本として出版されたものを後年翻訳したもの。新渡戸が考える日本に固有の「武士道」精神を、外国人向けに説いているため、現代の日本人にも比較的理解しやすい内容になっています。為末大氏はこの本を繰り返し読むことで、自分のそれまでの「勝てば全てが解決する」という考え方から、「あるがままを受け入れる」という考え方にシフトしていったのだとか。
『愛と幻想のファシズム』著:村上 龍
サッカー馬鹿にはなりたくない、という信念を持ち、現役時代から読書家として知られる中田氏の愛読書は、村上龍氏の代表作のひとつである『愛と幻想のファシズム』。中田氏、村上氏は交流を持っているのも有名な話です。やはり一流は一流を知る!?
名著とは示唆の宝庫!
古典から比較的時代の新しいものまでズラリと並びますが、そのどれもが名著と呼ばれる本ばかり。名著とは何度読んでも読むときの状況によって読み方が変わり、いつも新鮮な示唆を与えてくれるものです。繰り返し読むことで名著に折りたたまれた価値観や世界観を自分自身に取り入れて、一歩ずつ一歩ずつ、成長していきましょう。
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