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在日の心、理解してほしい…活発な著述続ける深沢潮さん
深沢潮さん
定価1800円+税。 問い合わせは朝日新聞出版(03・5541・8832)。

新刊『ひとかどの父へ』を語る

 在日を描く女性作家として注目を集める深沢潮さん(48)。新刊『ひとかどの父へ』(朝日新聞出版)は、複雑な家庭環境で育った主人公、朋美が葛藤を乗り越えて、自分の出自を受け入れるまでの姿を綴っている。本書について「在日についてあまり知らない日本の人たちに読んでもらい理解してほしい」と話す。

 朋美の父親は在日朝鮮人だった‐。ある日、日本人の母が衆議院議員選挙に出馬したのをきっかけに、幼いときに行方知れずとなった父親の素性を報道で知る。衝撃を受けながらも父親を捜し出し、自身の出自とともに、両親の歩んだ人生を理解する朋美を、深沢さんは温かい目で見つめる。

 深沢さんは上智大学卒業後、外資系金融機関に就職。その後、出版社の広告部を経てフランス系企業に転職した。

 深沢さんの両親はともに在日韓国人。1世の父親は厳しく、結婚まで男女交際は禁止。27歳のとき、在日男性と見合い結婚し、夫とともに帰化した。それは子どもの職業の選択肢を広げるためであり、地域市民として自身の声が反映される選挙権を持つことが必要と考えたから。

 「私は同化というふうには思わない。韓国籍のままそこで闘うという姿勢ではなくて、日本のメンバーになって在日のために何ができるのかという思いはすごくある」

 小説を書き始めたのは離婚してからだ。「自分が辛かったことをフィクションにして書いたことで癒された。それをブログで発表したら共感してくれる人がいて、もっと上手くなりたいと思い文章教室に通った」

 教室を辞めてから力試しに応募したのが、公募新人文学賞「女による女のためのR‐18文学賞」(新潮社主催)。3回目となる2012年、在日社会でお見合いを取りしきりながら生きるハルモニを描いた「金江のおばさん」で大賞を受賞。翌年、在日の泣き笑い人生を描いた『ハンサラン 愛する人々』(新潮社)で作家生活に入った。

 深沢さんが両作品を書くときに影響されたのは、作家の故鷺沢萠さんだ。パソコンから見つかった未完の遺稿を含む4編が収録された『ビューティフル・ネーム』に登場する在日韓国人3世の名前を巡る物語は、気負いがなくてナチュラルな心の動きを描いていた。鷺沢さんのスタンスで書きたいと思った。

 『ひとかどの…』には深沢さんの体験やエピソードが随所に織り込まれている。そこに苦しみや悲しさはあっても悲壮感はない。「昔は在日であることが不幸だみたいに思っていたけど、逆に2つの文化を知る存在として豊かだなと感じる」

 今秋にヘイトスピーチを題材にした『ここではない』(実業之日本社)を刊行予定だ。主人公は在日韓国人の女子大生。「声を出して主張できない在日の人たちのために表現できたらいいなと思うし、祖父母の代からの歴史も書きたい」

(2015.7.8 民団新聞)
 

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