北朝鮮・宣伝担当幹部 処罰後に業務復帰か

【ソウル聯合ニュース】「北朝鮮のゲッベルス」の異名を持つ金己男(キム・ギナム)朝鮮労働党書記(宣伝担当)が公の場から一時姿を消していたが、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の公開活動に同行し、注目を集めている。

 北朝鮮・朝鮮中央通信は23日、金第1書記が反米教育の拠点ともいえる黄海南道・信川博物館の新築現場を視察したことを報じながら、金己男氏の同行を伝えた。

 金氏は1966年に党宣伝扇動部副部長となり、党機関紙「労働新聞」の責任主筆、1990年代には宣伝扇動部部長、宣伝担当書記を務め、故金日成(キム・イルソン)主席、故金正日(キム・ジョンイル)総書記、金第1書記への3代世襲の正当性確保と偶像化に貢献した実力者だ。

 昨年11月に金第1書記が同博物館を視察した際も同行したが、今年4月8日に開かれた金総書記の国防委員長推挙22周年中央報告大会を最後に3カ月以上にわたり公の場に現れなかった。

 主要行事に欠席したのはもちろん、4月9日の最高人民会議(国会に相当)第13期3次会議では、中核的な党書記であるにもかかわらず、最前列ではなく傍聴席の3列目に座るという屈辱を味わった。

 その後、金第1書記の視察や主要行事での幹部名簿から金氏の名前が見られなくなり、代わりに李載イル(リ・ジェイル)宣伝扇動部第1副部長が宣伝業務を総括した。

 そのため、金氏が退き、金第1書記の妹、与正(ヨジョン)氏を中心に宣伝扇動部が再編されたという見方が支配的となり、韓国の情報当局も金氏が引退したとみていた。

 このほど金氏が再び金第1書記の公開活動に同行したため、党書記兼部長の肩書きは維持しているようだが、地位には変化があったのではないかという憶測が広がっている。

 金氏が公の場から姿を消したのは、業務上のミスによる業務中断という「革命化(処罰)」の過程だったとの見方だ。北朝鮮では幹部が業務でミスをした場合、一定期間の業務中断や左遷などの「革命化過程」を踏むのが一般的であるためだ。

 また、80代の金氏が病気の治療を受けていたとの見方もある。

 いずれにせよ、金氏が党書記の肩書きは維持していても、以前のような中核的役割を果たしてはいないようだ。ソウル大統一平和研究院の張容碩(チャン・ヨンソク)上級研究員は「北の3代にわたる世襲体制の宣伝扇動に献身してきた金氏を簡単に追い出すことはできないだろう。高齢で持病もあるため世代交代を念頭に置いて業務を遂行しているとみられる」と説明した。

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