入隊延期問題で物議を醸していたプロゴルファーのベ相文(ベ・サンムン、29)=写真=が大邱市内の慶尚北道地方兵務庁を相手取り起こしていた行政訴訟で敗訴した。ベ相文は判決後、「早急に帰国し、兵役の義務を果たす」とコメントした。
大邱地裁第1行政部(キム・ヨヌ裁判長)は22日、ベ相文が大邱慶尚北道地方兵務庁長を相手取り起こした国外旅行期間延長許可申請の不許可仮処分取り消し請求訴訟で、「原告の請求を棄却する」との判断を示した。同地裁は「ベ相文選手が米国で相当期間米プロゴルフ協会(PGA)の選手として活動・滞在していたと言っても、米国に引き続き居住することを目的としているわけではないので、原告の永住権取得による国外旅行許可延長申請は兵役法上の要件を満たしていない」と判決理由を述べた。
また、「現在、五輪まであと1年6カ月という状況なので、原告の五輪参加が確実だとは言えない。韓国代表に選ばれ、出場が確実になった状況で五輪が迫り、短期間の入隊延期を受けたほかの選手たちとは比較できない」とも述べた。ベ相文の弁護人側はサッカー選手の朴主永(パク・ジュヨン、30)ら兵役が免除されたほかの特例措置選手たちの事例を挙げ、自身にも来年の五輪に出場する機会を与えるべきだと主張したが、受け入れられなかった。
一方、国民権益委員会所属の中央行政審判委員会も同日、「ベ相文選手の永住権取得後、兵務庁が国外滞在した期間・国内での所得活動と学業・年齢などを考慮し国外旅行期間延長許可を拒否したのは違法・不当ではない」と決定、兵務庁側に軍配を挙げた。
これについて、ベ相文は正式なコメントを各報道機関に送付、「裁判所の判決を全面的に尊重し、法の判断を謙虚に受け入れたい。2年連続でPGAツアー優勝を果たした現時点が選手として成長する足場固めに重要だと考え、合理的かつ合法的な制度の枠組みの中で方法を探ろうと自分なりに最善の選択をした。帰国時期については慎重に考え、あらためて申し上げたい」と明らかにした。
ベ相文は現在、男子ゴルフ世界ランキングで韓国人選手としては2番目に高い107位になっている。2012年のPGAツアーでデビュー、翌年に米国の永住権を取得した。13年5月のHPバイロンネルソン選手権と14年10月のフライスドットコム・オープンで優勝した。05年の徴兵検査で2級現役兵入営対象と判定されたが、昨年末まで大学院在学を理由に何度も入隊を延期していた。
ベ相文は昨年12月、永住権の新規取得を理由に国外旅行期間延長を再申請したが、兵務庁は延長を許可せず、今年1月31日までに帰国するよう通知した。ベ相文はこれを履行しなかった上、国外旅行期間を延長してほしいという陳情書を国民権益委員会に提出、大邱地裁で行政訴訟を起こしていた。