河野洋平氏「安倍談話をなぜ発表するのか疑問」

朝日新聞とのインタビューで語る

 旧日本軍の慰安婦問題を認めた「河野談話」(1993年)の立役者、河野洋平・元官房長官(78)が22日、朝日新聞とのインタビューで「安倍晋三首相は戦後70年談話(安倍談話)をなぜ発表しようとするのか疑問だ」と述べた。

 河野氏は「何を目標に(談話を)発表するのかがあいまいだ。『戦後70年だから』以上の理由が見えてこない」とした上で「10年単位でただ談話を発表すればいいというわけではない。実際、戦後60年に当たって発表された小泉談話は、(戦後50年に当たる1995年、太平洋戦争や植民地支配について公式に謝罪した)村山談話に比べ大きな意味がない」と指摘した。

 河野氏は自民党政権の宮沢内閣で官房長官を務めていた1993年、河野談話を発表し「元慰安婦たちが本人の意思に反して動員された」と認めた。その後、自民党と社会党(現・社会民主党)、新党さきがけによる連立政権の村山内閣で副総理を、2003年から09年まで6年にわたって衆議院議長を務めた自民党の大物政治家だ。これまで、安倍首相の歴史認識についてのコメントを控えてきたが、先月に初めて、村山富市元首相と共に記者会見を行い、村山談話を継承するよう求めた。

 河野氏はこの日、歴史認識に関する名演説・談話として、旧西ドイツのリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー元大統領の演説(1985年)、と、福田赳夫元首相の演説(77年)、村山談話の3つを挙げ、安倍首相を批判した。

 河野氏は「ヴァイツゼッカー元大統領は『過去に目を閉ざす者は、現在に対してもやはり盲目となる』と述べ、世界の政治家たちに対し示唆に富む指摘をした。福田元首相は東南アジア諸国に対し『日本は軍事大国の道を選択することはない』と約束し、歓迎された。村山談話は韓国や中国はもとより西欧でも『日本に対する視線』を大きく変えた」と述べた。その上で河野氏は「安倍談話はヴァイツゼッカー元大統領の演説や村山談話に比べ軽く感じられる」と批判した。

 また河野氏は「50年後、100年後を見据えて、今必要なことは、言葉ではなく行動だ。靖国神社とは別の国立追悼施設の建設を早く検討すべきだ」と主張した。安倍首相など自民党右派が、A級戦犯まで合祀(ごうし)した靖国神社への参拝にこだわっている中で、同神社とは別の追悼施設をつくり、戦犯と戦没者を区別するべきだという意味だと考えられる。

 最近、安倍首相を支持する自民党議員たちが「(安倍政権に批判的な)マスコミを懲らしめるためには、広告を出さないのが一番だ」などと主張し物議を醸したことについて河野氏は「かつては自民党の中でも批判や反論が飛び交ったものだ。(安倍首相や自民党が)自分たちの主張に自信があるのなら、『どうぞ批判してください』というべきだ」と述べた。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース