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【埼玉】

被爆者3人対談 「核兵器とは共存できぬ」

 さいたま市内で26日に開かれる第30回県原爆死没者慰霊式で、県内に在住する被爆者3人が「核兵器とは共存できない」とのテーマで対談する。3人は慰霊式を主催する「県原爆被害者協議会」(しらさぎ会)の元会長2人と現会長。3人は広島や長崎の「あの日」をさまざまな場面で個々に語ってきたが、そろって対談するのは初めて。 (桜井章夫)

 三人は、しらさぎ会の元会長で名誉会長の肥田舜太郎さん(98)=さいたま市浦和区、元会長の堀田シヅヱさん(94)=鴻巣市、会長の田中煕巳(てるみ)さん(83)=新座市。

 肥田さんは軍医だった二十八歳のとき広島で被爆した。直後から救出活動を行い、終戦後も被爆者の治療を続けた。埼玉協同病院(川口市)の院長などを務め、二〇〇九年に医師を引退するまで、診察した被爆者は約六千人という。

 堀田さんも広島で被爆した。終戦後に結婚して鴻巣市に移り、小学校の養護教諭を務めながら語り部の活動を始めた。米国にも渡り、高校や教会などで被爆体験を語っている。

 田中さんは長崎で被爆。一九七○年代から被爆者団体の活動にかかわり、現在は日本原水爆被害者団体協議会事務局長も務める。今年五月に国連本部で開かれた核拡散防止条約再検討会議に出席し「核兵器は人類の発明であり、人類の知恵で廃絶できる」と訴えた。

 主催者の田中さんは「これまで慰霊式は慰霊碑の前で行ってきたが、今年は広島・長崎原爆から七十年の節目の年。違ったかたちで開催する。被爆者は高齢になっており、体験を語り継ぎたい」と話している。

 慰霊式の式典はさいたま市浦和区の埼玉会館で午前十時から開催され、三人の対談は午後一時から。同二時十分からは長崎原爆投下直後の医師の活動を描いた長編アニメ映画「NAGASAKI 1945 アンゼラスの鐘」(八十分)が上映される。入場無料。

 問い合わせは県生協連内実行委員会事務局=電048(844)8971=へ。

    ◇  ◇

 三人の被爆体験は東京新聞埼玉版・埼玉中央版の今年の企画「語り継ぐ 戦後70年」で掲載しています。肥田さんは一月一日、堀田さんは一月七日、田中さんは七月三日の紙面です。

 

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