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【政治】

1票の不平等なお2・97倍 参院2合区案 可決

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 参院選で隣り合う二県を一つの選挙区にまとめる合区を二つ導入し、選挙区定数を「十増十減」する公職選挙法改正案は二十四日の参院本会議で、自民党と野党四党の賛成多数で可決された。来週の衆院本会議で可決、成立する見通し。来年夏の参院選で初めて合区が導入される。「一票の不平等」是正をめぐっては、最高裁が「違憲状態」と指摘した二〇一三年参院選の最大格差が四・七七倍だったのが、最大二・九七倍に縮小するにとどまり、違憲の懸念を残した。

 改正案は自民、維新、元気、次世代、新党改革の与野党五党が共同提出。「鳥取・島根」と「徳島・高知」をそれぞれ一つの選挙区に統合し、いずれも定数二(改選数一)とする。宮城、新潟、長野は定数が四(同二)から二(同一)に減少。北海道、兵庫、福岡の定数は四(同二)から六(同三)、愛知は六(同三)から八(同四)、東京は一〇(同五)から一二(同六)へとそれぞれ増える。

 採決は記名投票で行われ、賛成は一三一、反対は一〇三。民主、公明、共産、社民、生活の各党に加え、政党に属さない議員でつくる会派「無所属クラブ」、無所属議員が反対した。

 民主、公明、生活の三党と無所属クラブは、二十県・十合区を含む定数「十二増十二減」で最大格差を一・九五倍に抑える改正案を共同提出していたが、自民など五党の法案が先に可決されたため、採決されなかった。法案の採決で与党の自民、公明両党の対応が割れるのは極めて異例。

 最高裁は一三年参院選を「違憲状態」と指摘した判決で、投票価値の平等は憲法上の要請として、都道府県単位で選挙区を設ける仕組みを改めるよう国会に促していた。五党案は、一〇年の国勢調査に基づく一票の格差が最大でなお三倍近くあり、投票価値の平等にはほど遠い。

 五党側も、抜本的な制度改革ではないことを認めている。五党案の付則には、一九年の次々回参院選に向け「議員一人あたりの人口の格差の是正などを考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」と明記された。

 

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