東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「戦争、平和って何」 高校生が全国自転車リレー

写真

 広島・平和記念公園にともされている「平和の灯(ともしび)」と、東日本大震災被災者を追悼するため宮城県石巻市にともされている灯火を、北海道から九州まで運ぶ自転車リレーに、各地の高校生が取り組む。戦後七十年をきっかけに、高校生らは、戦争や平和を考えるさまざまな催しを予定しており、生徒らは「知らないのは怖い。たくさんの仲間と一緒に考えたい」と参加校を募っている。 (柏崎智子)

 催しは「高校生・戦後七十年『未来』プロジェクト」。約五十校の高校生が携わるボランティア組織「愛知県高校生フェスティバル実行委員会」が発案し、五月に名古屋市で開いた「全国高校生サミット」で呼び掛けた。これまでに北海道から熊本県まで百校以上が参加を表明している。

 自転車リレーは、二十七日に岩手県花巻市、八月七日に広島市の二カ所から出発して全国へともしびを届け、最終ゴールの名古屋市で合流する。主な中継地点では、その地域の戦争体験者や高校生らと交流も。総移動距離は約二千キロとみられ、多くの走り手が必要だ。

 プロジェクトに加わるのは、もともと平和問題に関心の高かった生徒ばかりではない。実行委員長の名古屋経済大学高蔵高校三年、日比野和真さん(17)は、フェスティバル実行委に入ったのは「彼女を作るため、ぐらいの気持ち」だったと明かす。

 意識がはっきり変わったのは三月、空襲体験を聞いてから。語り部の男性は静かに惨状を話し「これが空から落ちてきて火を噴いた」と日比野さんの手に焼夷(しょうい)弾の残骸を持たせた。

 冷たく、ずしりとした感触に戦争をリアルに感じた。「社会に目を向けず、選挙に行かないでいると最悪、戦争になるかも。もっと知りたい」と考えるようになった。

 東京都世田谷区の大東学園高校二年、緒方ひめのさん(17)は、先生の勧めでサミットに参加し、イラク戦争の話を聞いたり全国の高校生と交流するうち、戦争について知ろうとしてこなかった自分を後悔した。今は学ぶことが楽しい。

 緒方さんの呼び掛けで、大東学園は二年生がプロジェクトに参加することに。自転車リレーを盛り上げる企画や、秋の文化祭で過去の戦争から現在までをたどる展示を構想中だ。

 生徒らはこのほか、戦後七十年にちなみ、七十万羽の鶴を折り十二月に東京・日比谷公園で発表する企画や、各地で計七十人の語り部から戦争体験を聞く取り組みもある。学校単位だけでなく、個人での参加もできる。問い合わせは、プロジェクト全国実行委員会東京事務局=電03(3264)8011=へ。

 

この記事を印刷する

PR情報