又吉「火花」早くも村上春樹超え124万部、印税は1・6億円にも

2015年7月22日5時0分  スポーツ報知
  • 芥川賞受賞会見で「ピース」サインを見せていた又吉直樹(16日)
  • 又吉直樹の「火花」

 出版大手の文芸春秋は21日、第153回芥川賞受賞が決まったお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹(35)の小説「火花」(1296円)を20万部増刷することを決め、累計発行部数は124万部になると発表した。同社の小説作品では、村上春樹さん(66)の最新長編「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(2013年)の105万部を超える部数。村上さんが逸した芥川賞に続き、部数でも“ハルキ超え”を果たした形となった。

 「火花」のフィーバー、いやスパークが止まらない。世界的作家で、ノーベル文学賞レースでも毎年名前が取り沙汰される村上春樹さんの最新作の部数を一気に超えた。

 版元の文芸春秋によると「火花」は3月、初版10万部以上で刊行されて以降、順調に版を重ね、芥川賞受賞が決定した今月16日時点で累計64万部に達していた。受賞が決まったことを受け、翌17日に40万部の大増刷を行い、累計104万部に。新人作家としては極めて異例のミリオンセラー作品となっていた。

 異例の大増刷で、当面は十分な在庫が確保されるかと思いきや、18日からの3連休で全国の書店で完売店が続出。文春によると「芥川賞受賞」の帯をかけた増刷分が23日には各店に入荷される予定となっているが、現状の勢いが続いた場合は供給が再び追いつかなくなる状況も起こり得ると判断し、大増刷からわずか4日後に20万部の追加増刷に踏み切った。

 文春の単行本小説作品としては、13年4月に刊行された村上さんの「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来の100万部突破だが、同作は現在までの累計部数が105万部。累計124万部の「火花」は「ハルキ超え」を果たしたことになる。村上さんはデビュー作「風の歌を聴け」と第2作「1973年のピンボール」で芥川賞候補になったが、いずれも受賞を逸しており、又吉のデビュー作は「賞」と「部数」の両面で村上さんを超えた形だ。

 太宰治らと比べると、言及されることは少ないが、実は村上さんも又吉のお気に入り作家の一人。過去には書評誌で「風の歌を聴け」「ノルウェイの森」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」などをオススメ作品として紹介している。

 芥川賞受賞作としては、2003年に史上最年少(19歳)受賞を果たした綿矢りささんの「蹴りたい背中」の累計127万部に匹敵するヒットに。印税は一般的に発行部数の10%といわれており、単純計算で現在約1億6000万円。又吉と所属事務所との配分などは不明だが、お金の面でも、芥川賞史に残る作品となりそうだ。

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