東京・三鷹ストーカー:リベンジポルノ遺族告訴 地検、追起訴へ捜査
毎日新聞 2015年07月18日 東京朝刊
東京都三鷹市で2013年10月、元交際相手の女子高校生(当時18歳)を殺害したとして殺人罪などに問われた池永チャールストーマス被告(23)=1審で懲役22年、高裁で差し戻し判決=が被害者の画像をインターネットに投稿した行為を処罰すべきだとして、遺族が児童ポルノ禁止法違反容疑で告訴した。遺族の代理人弁護士が17日、発表した。東京地検立川支部は告訴を受理し、同法違反での追起訴に向けて追加捜査を始めた。
代理人弁護士によると、今月10日に告訴状を提出し、13日付で受理された。検察が追起訴すれば、裁判所が従来の起訴内容と併合して差し戻し審で審理するか、別の裁判とするかを判断する。検察側は併合審理を求めるとみられる。
被告による画像投稿は「リベンジ(復讐(ふくしゅう))ポルノ」として社会問題化したが、遺族は当初の捜査段階では「被害者の名誉が一層傷つけられる」と告訴を見送った。2審判決が「起訴されていない画像投稿を罪と認定し、実質的に処罰した疑いがある」と審理を差し戻したことから、画像投稿が判決に反映されず、刑が軽くなる可能性が出てきたとして、告訴を決意したという。
代理人弁護士は「2審判決は被害者の両親にとって極めて不当で受け入れがたいもの。両親は被告の行為がもれなく処罰されることを求めて告訴した。捜査、公判を通じて被告の犯罪が明らかにされると考えている」とコメントした。
1、2審判決によると、池永被告は13年10月、被害者宅に侵入し、待ち伏せして被害者をナイフで刺して殺害した。殺害後、被害者の画像を投稿して閲覧できる状態にした。裁判員裁判の1審は昨年8月、画像投稿を重視し「ネット上から画像を完全に削除するのは極めて困難。被害者の名誉をも傷つけた」と指摘し、懲役22年(求刑・無期懲役)とした。これに対し東京高裁が今年2月、訴訟手続きに反するとして審理を差し戻した。【山下俊輔】