東京・三鷹の女子高生殺害:審理差し戻し リベンジポルノ追加捜査、地検検討
毎日新聞 2015年07月17日 東京夕刊
東京都三鷹市で2013年10月、元交際相手の女子高校生(当時18歳)を殺害したとして殺人罪などに問われ、審理を差し戻された池永チャールストーマス被告(23)が、被害者の画像をインターネットに流出させたとされる行為について、東京地検立川支部が児童ポルノ禁止法違反で追加捜査を検討していることが関係者への取材で分かった。遺族から告訴を受ける方向で調整しているとみられ被告が同法違反で追起訴される可能性が出てきた。
被告による画像のネット投稿は「リベンジ(復讐(ふくしゅう))ポルノ」として社会問題化したが、女子高校生の遺族が法廷での審理を望まず、捜査段階で起訴内容に含めることを見送った経緯がある。差し戻し後に追起訴し、審理の対象となれば異例の展開となる。裁判員裁判の1審は昨年8月、画像投稿を重視し「ネット上から画像を完全に削除するのは極めて困難。被害者の名誉をも傷つけた」と指摘し、懲役22年(求刑・無期懲役)とした。
これに対し、東京高裁は今年2月、「起訴されていない画像投稿を罪と認定し、実質的に処罰した疑いがある」と判断。訴訟手続きに反するとして審理を差し戻した。このため、差し戻し審では量刑が1審より軽くなるとの見方も出ていた。
1、2審判決によると、池永被告は13年10月、被害者宅に侵入し、6時間以上待ち伏せ、被害者をナイフで刺して殺害した。殺害後、撮影した画像を投稿して閲覧できる状態にした。事件後、リベンジポルノ取り締まりの機運が高まり、昨年11月に「リベンジポルノ被害防止法」が成立。撮影した性的な画像を不特定多数に提供すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるようになった。
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■ことば
◇三鷹ストーカー殺人事件
2013年10月8日、東京都三鷹市の高校3年の女子生徒(当時18歳)が、自宅に侵入して待ち伏せしていた池永チャールストーマス被告(23)に刺殺されたとされる。女子生徒は同日午前、両親と警視庁三鷹署を訪れ、池永被告が京都市から上京し通学路に立っていたことや、自殺をほのめかす電話やメールを受けたことを相談したが署員は危険性が切迫しているとは判断せず帰宅させた。署員は他の相談も抱えていたことから上司にこの相談を報告しなかった。