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右腕に7度メスを入れ復活 ヤクルト館山語るリハビリの辛苦

日刊ゲンダイ 7月24日(金)9時26分配信

「今は先は見ていない。必要とされるまでやりたいという気持ちしかありません」

 こう語るのは、ヤクルトの館山。09年の最多勝を獲得するなど、エースとしてチームを牽引した右腕は昨年4月、自身3度目となる「トミー・ジョン手術」を受けた。リハビリを重ね、6月28日の巨人戦で814日ぶりの一軍登板を果たすと、11日のDeNA戦で実に1019日ぶりに勝利した。不屈の男を直撃した。

――13年、14年と2年連続の「トミー・ジョン手術」を経て復活し「2年間、時が止まっていた」と言ってましたね。リハビリで一番つらかったことは何ですか?

「すべてですかね。中でもつらいのは手術と診断されて実際にメスが入るまでの期間。リハビリが始まれば日々の変化を楽しめ、成長も感じられるんですけど、これから再び肘の痛みと闘うんだと考えると……」

――手術しても肘は痛むものですか?

「痛いという思いしかないですね。入院中は痛み止めを服用できますが、肘の可動域を広げる段階で薬を飲んでしまうと、動かし過ぎてまたダメになる危険がある。あとは寝るのが大変。寝返りを打って肘に負担がかかると激痛が走る。睡眠時は専用のギプスをはめて対処していました」

――肘には左手首の腱を移植したそうですね。私生活に影響はないのですか?

「それほどでもないですけど、ウエートトレが大変。左右均等に鍛えようと思っても、左腕だけが張ったり、内出血することが多い」

■次に切れたら? 「もうダメでしょうね」

――腱の種類でパフォーマンスは変わるものですか?

「そう感じますね。2回目の手術で肘に移植した薄筋(大腿骨内側の筋肉)の腱では、速球は最速142キロ程度でフォークで空振りが取れず、投球スタイルを変えざるを得ないと思った。左手の腱を使った今回は直球が良くなり、フォークが130キロ後半出て空振りが取れる。(2ケタ勝利を挙げた)08年に近い状態かもしれない」

――昨年の手術後、「次に靱帯が切れたらもう終わり」と話していました。

「もうダメでしょうね。2回目の手術で薄筋の腱を使ったように、移植する腱が体にあっても、肘の骨が耐えられないと思う。手術するたびに骨に穴を開けて腱を通すわけですし、補修もしないといけませんから」

――それにしても、肩や肘など7度も手術をして復活するなんてめったにないことです。

「僕はそんなでもないですよ。小久保裕紀さん(侍ジャパン監督)、内竜也くん(ロッテ)は8度も手術しているし、僕を見てくれているトレーナーさんはモーグルで五輪出場した人ですが、10回ほどやったそうです。全部で151針を縫ってますけど、僕より数が多い選手も知っている。ツワモノはもっといるんですよ(笑い)」

最終更新:7月24日(金)12時15分

日刊ゲンダイ