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日経の英FT買収 親会社ピアソンが決断した理由は広告部門の苦境 新聞部門で人員削減進む可能性も
日本経済新聞社による英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)グループの買収は、国境を越えたメディア再編が今後も続く可能性があることを示した。再編をめぐる欧米の潮流を探り、日本国内にどんな影響を与えうるかを展望した。
「日経との担当が重なるアジア部門に、大なたがふるわれる可能性がある」
日経のFT買収が明らかになった24日朝。FTのアジア報道の中核をなす香港支局では、こんな会話が交わされていたという。
FTの購読者は紙媒体とインターネット上のデジタル版を合わせて70万超。海外メディアでは「勝ち組」とされるが、紙媒体が購読者数全体に占める割合は3割程度に過ぎず、広告収入も落ち込みが著しい。
FTの親会社の英教育・出版大手のピアソンがFT売却を決断したのも、広告事業の苦境が理由だったとされる。「日経の買収を機に、新聞部門で人員削減が進む可能性がある」(ベテラン記者)との見方が出るのも、こうした背景からだ。
競争の激化で、インターネットの広告単価も低下基調にある。新規投資の割にネット広告事業の採算が思わしくないのは、欧米メディアに共通する現象だ。