三菱マテリアルに「全ての犠牲者癒やす措置を」=韓国政府

【ソウル聯合ニュース】三菱マテリアル(旧三菱鉱業)が戦時中に日本に強制徴用され、過酷な労働を強いられた元米国人捕虜らに謝罪する一方、韓国人被害者については言及していないことについて、韓国の外交部は24日、「当時、強制動員され、労役を提供した全ての犠牲者が負った心の痛みを癒やす措置が取られなければならない」との立場を表明した。「すべての犠牲者」には韓国人被害者も含まれる。

 三菱マテリアルが今月19日に戦時中に労働を強いられた米国人の元捕虜らに対し、初めて謝罪したほか、中国人元労働者に対しても謝罪し、損害賠償訴訟で和解することが伝えられる中、韓国外交部の立場表明には苦心の跡がうかがえる。表現の水準も原則的で限定的だ。韓国政府の当局者は外交部の立場表明について、「韓国人被害者に対する謝罪を念頭に置いたものとみられる」としながらも、「賠償・補償問題とは別」と指摘した。

 韓国政府が強制徴用問題で積極的な立場を取れないのは、1965年の韓日請求権協定があるほか、関連訴訟が進められているためだ。韓国政府は強制徴用の請求権問題は請求権協定で解決済みとの立場を堅持してきたが、2012年に韓国大法院(最高裁)が個人の請求権は消滅していないと判断してからは具体的な意見表明を控えている。

 1940年代に日本の軍需企業に強制徴用された韓国人被害者らは新日鉄住金(旧日本製鉄)と三菱重工業を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こした。一審と二審で敗訴したが、大法院は個人請求権を認める判断を下した。

 2013年の差し戻し審でソウル高裁は新日鉄住金に対し賠償を命じる判決を言い渡した。同年、釜山高裁も三菱重工業の賠償責任を認める判決を下した。両企業は不服として上告し、大法院で再上告審が行われている。

 再上告審で被害者に賠償を命じた判決が確定し、韓国政府が両企業の国内資産に対する差し押さえなどに着手する場合、両国の全面的な外交対立に発展する可能性も排除できない。

 韓国政府は強制徴用と関連した賠償・補償問題については、「関連訴訟が進行中」として、具体的な言及を避けている。

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