全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・曙(46)が、「プロレスデビュー10周年記念試合」(25日、東京・後楽園ホール)を迎える心境を激白した。元横綱の看板を引っさげて挑戦した格闘技で挫折を味わうも、プロレスのリングで頂点に君臨。プロレスラーとして開花させてくれた天龍源一郎(65)への思い、そして今後の野望から引き際まで、余すところなく語り尽くした。
――2005年7月2日のWWEハウスショー(さいたま)でプロレスデビューしてから10年だ
曙:最初は「元横綱を見たい」という客寄せパンダみたいだったけど、目指す本物のプロレスをやっているのが今ですね。一番最初に「プロレスラー曙」をつくってくれたのは天龍さん。武藤(敬司)さんのもとで始まり、もう一皮むかせてくれた。実はハッスルに出た時の自分のキャラが嫌で、やっていいのか迷っていた。
――なぜ迷いが
曙:四つん這いになってバブーとかやってていいのかなって。横綱のプライドがあったし。そんな時に控室が一緒になり「これもプロレスだ。迷ってやるならお客さんに失礼だし、やめたほうがいい。横綱時代のファンは減るかもしれないけど、プロレスラー曙のファンは2倍、3倍も増える。やるなら100%バカになってやれ」という話をいただいた。そこからプロレスラーとしての道を歩き始めました。電流爆破に出たのも、あの言葉があったから。
――25日の試合(曙、天龍、ウルティモ・ドラゴン組対秋山準、大森隆男、入江茂弘組)に出場する天龍選手は11月15日に引退する。自身の引き際についてはどう考えているのか
曙:中心で争える間はやります。中心でなくなったら、務めは終わりだと分かっているんですよ。相撲の時に突然引退したのは、次の世代が育っていたのを感じたから。一番は気持ちですね。若い人には渡せない、任せられないという。
――今日は長女のケイトリンさん(17)も一緒に道場に来た
曙:最近になって、自分から来たいと言っているんですよ。やっと目覚めたんじゃないかな。なんで(自分が)毎日体を鍛えているのか、自分たちなりに理解できたんだと思う。
――今後やりたいことは
曙:ほかの団体の各チャンピオンとやってみたい。今は(相撲)部屋の中でしか試合をしてないという感じじゃないですか。外に出て、例えば「曙対若貴(若乃花、貴乃花)」で初めて気づくものが多いと思う。それに当時の東関部屋では「引っ張っていく」責任があった。優勝して部屋に帰ったら若い衆が泣いて喜んでいる姿とか、そういう光景を戻したい。付け人を(他団体に)連れていって「自分たちの3冠チャンピオンは世界一だ」ってね。
――独り勝ちの新日本プロレスは意識するか
曙:あの時の二子山部屋ですね。若貴との巴戦(1993年の名古屋場所、曙が優勝)も、ボクの後援会が100人くらいで、向こうは数千人近くいた。そんなの見せられたらやるしかない。だから余計に燃えるんだよ。ワハハ。負けませんよ!
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