それから暫く・・・
職を転々としながら 食いつないでた。
出来る仕事は全てした。
少し生活が落ち着いてきた。
はるくんはある仕事の会社をおこした。
と言っても、自分が前に立つ事は出来ない。
友人の元奥さんが社長としてする事にした。
その友人と私は10年近くの知り合いだった。
(Sの店で知り合った13歳くらい上の人)
娘とも仲が良かった。
というか、慕われてた。
( 野菜が全く食べれないというその子に
克復料理を作ってあげたり、
友人が出張でどうしても娘の面倒を見てくれる人が
居ない時に私が泊まりに行って
一緒に過ごしてあげたり・・・。)
幼い頃に両親が離婚し、
父親と祖母と暮らしてた。
心開ける女の人の存在が欲しかったんだろうな。
その子が中学生になり、体の変化の事もあるからと
母親と暮らすようになった。
でも・・・
親子関係はうまくいかなかった。
何年の別々に住んでた母子。
母は、何人もの男を騙し
金を貰って生活している様な人だった。
娘に、ご飯も作らない。
その子は学校へも行かなくなり、
夜遊びはするわ、タバコ、酒・・・
手の付けられないような状態にあった。
ますます親子関係は悪くなっていった。
(勿論 子供の方にも悪いところはあるけれど)
友人は私に電話をかけてきた。
娘に、私のところへ連絡するように言ったらしい。
私は、友人から、娘の話を聞いてやって欲しいと、
私の言葉なら受け入れるからと、お願いされた。
夕方、その子から電話がかかってきた。
私ははるくんと相談し、
今すぐ家へ来るようにその子に言った。
そして・・・
その日から、我が家の一員になった。
親の元へ帰りたくないから
施設へ行こうと思ってる と その子は言った。
私はとりあえず落ち着かせ、夕飯を食べさせた。
すると・・・涙を浮かべながら言った。
「肉じゃがなんて・・・何年ぶりやろぉ・・・」
って。
私はその言葉が衝撃だった。
とても・・・聞いてて辛かった。
そして、
変わりたい、と。
もう1度学校へ行って、
普通の中学生になりたいと・・・そう言った。
その話を聞き、
私達は友人に連絡し、我が家で預かる事にした。
友人とはるくんは近くの中学校に連絡をし、
学校へ行き、事情を話し
我が家から通えるように手配してくれた。
異例だったけど・・・
校長先生はじめ、いい先生に恵まれ
学校へ通える事になった。
私は 中学生の母 になった。
まぁ~でも、大変だったよ。
私が母親代わりなんだもん。
毎日、お弁当を作り、見送る。
お腹にりぃが居る中でのれぉの世話。
勉強も教えた。
そして
どうしても教えてあげたかった大事な事・・・。
「 中学生らしさ 」 「14歳らしさ 」
「家族でご飯を食べるという事の大切さ」
「今しか出来ない事」
化粧やピアス、おしゃれなんかよりも
もっと大切なこと・・・。
その子は真面目に学校に通った。
根は真面目な子だった。
勉強も必死にした。
遅れていた分を取り返すため、
担任の先生含め、色んな先生が協力し、
本人も努力した。
どこの高校も入れないと言われていた学力も
いくつかの高校に入れるレベルになった。
私達はその間、母親と2人で会うことを拒絶した。
何度か会わせたりお泊りさせた事があるのだけど、
その度、眉毛が短くなっていたり、
化粧品やピアスが増えていたり・・・
好かれたいが為に母親が買い与えていた。
はっきり言って母親はその子にとって「ガン」だった。
その子もその子。
私達に怒られるのを承知で
出かけた時とは変わった姿で帰ってくる。
1度経験した事のある自由さ・・・。
化粧して ピアスして 髪の毛巻いて・・・
クラブ通いして・・・キャバでバイトしたり
サークル入ってパー券売ったり・・・。
14歳がする生活じゃない。
でも、1度味わってしまった大人の世界から
身を引くのはとても大変で勇気の居る事。
必死にその世界から脱け出させようとする
周りの大人達の気持ちを無視し、
脱け出したい気持ちはあるけど
なかなか楽しさから脱け出せないで居る
本人の葛藤している気持ちに
母親が余計な油をそそぐ・・・。
同じ 「母親」 という立場から見て許せなかった。
だから、母親と連絡取るのを禁じた。
そして
年末が来た。
学校も休みだし、田舎の行事もあるからと
数日だけ母親の元へ返す事にした。
それが間違いだった。
母親は娘を家に監禁状態にした。
私達の元へ返すのが嫌がった。
義務教育なんだからわざわざ行かなくても
卒業はさせてもらえるんでしょう?!
という理由で 学校へも行かせなかった。
担任の先生が心配して
何度も私の家に来た。
私達も友人もみんなその状態をどうにかしたかった。
でも・・・出来なかった。
その時、母親が親権を握っていたから・・・。
私達は何も出来ずまま、見守るしかなかった。
そして、
その子は学校へ行かずまま、中学を卒業。
高校はどうしても行きたいと親に言って
地元の高校へ行かせて貰ったもの、
あの母親の元での生活。
続くわけがない。
すぐに中退し、バイト生活を始めた。
それからは・・・
あまり詳しく知らない。
本人も気まずいようで・・・。
友人から時々話を聞いたりするくらい。
今・・・まだ17歳。
大丈夫かなぁ・・・。