jin115 - ゲーム 09:00 PM
[オレ的と行く#6]いま完全新作を出すハードルは?―『ダンガンロンパ』齊藤さん
どうもこんにちは、オレ的ゲーム速報のJin115です。
「オレ的と行く」第6回は、スパイクにお邪魔して、新作タイトル・PSP『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』でアシスタント・プロデューサーを務める齊藤祐一郎さんに色々聞いてきましたYO!
―どうもこんにちは、本日はお忙しい中、取材に応じていただきありがとうございます! 早速ですが『ダンガンロンパ』の開発期間や売上目標本数を聞いてもいいですか?
開発自体はスタートしてから約1年ですね。でもその前に、企画を通すまでに半年ほどかかりました。オリジナルということも鑑みて、10万本くらいを目標としています。
―PSPのゲームで、企画まで含めて1年半というのはコンパクトですね。
完全オリジナルですので、元からあるリソースを使いまわすこともなく、試行錯誤を重ねながら作り上げました。そういう意味で、1年の開発期間というのは短い方なのかもしれません。けっこう無茶しちゃったかな(笑)。
―正直、今の時代に完全オリジナルで新作ゲームを出すのは、なかなか難しい事だと思うんですが。
だいぶ厳しいですね。『ダンガンロンパ』は企画自体にかなり尖った部分があります。それに加えて、オリジナルということもあって、会社に企画を通すのに時間がかかりました。
―企画を通すまでに、どういったハードルがあったんですか?
社内での理解と承認を得るためには、AVGタイトルを成功させる難しさ、扱うテーマの倫理性など、ネガティブなイメージを払拭する必要があります。
オリジナルタイトルならことさらですが「このタイトルは成功へ繋がる企画だ」というイメージを全員で共有するために約半年程の時間がかかりました。
―「モノクマ」みたいなキャラクターがいたり、世界観が独特ですよね。
そうですね、シナリオは弊社の小高が担当しておりまして、シナリオの98%は彼が書いてます。プレイボリュームとしては普通に遊ぶと20~30時間ぐらい。普通、このボリュームだとシナリオライター何人かで分業することがほとんどですけど、今回は小高ひとりです。
―「モノクマ」のデザインはどんな過程で決まりましたか?
ゲームの舞台が学校ということもあり、最初は人体模型のように半分、内蔵が見えてるデザインでした。でもポップなイメージを出したい、という方向性が固まってからは、ずいぶん和らいで今のイメージになってます。
―『ダンガンロンパ』の制作にあたって意識した作品等はありますか?
アドベンチャーゲームの成功例として、『逆転裁判』は意識した事があります。また、『ダンガンロンパ』は「学園内で生徒たちの殺し合いが始まる~」という、物語の設定自体が凄惨なものですので、雰囲気を和らげるために「パワーパフガールズ」のようなポップな作品も意識しました。
今作の世界観をひと言で現す言葉として、シナリオの小高は「サイコポップ」を提唱しています。...なかなか定着してませんけど(笑)。
―ターゲットとしている年齢層はどの辺ですか?
CERO的には17歳以上推奨になっています。17歳以上の方には手にとって頂きたいですね、学園モノになってきますので学生の方には是非やって欲しいと思っています。
今回は開発スタッフも20~30代前半の若い世代で構成されています。若い人達に手にとって頂きたいです。
―『ダンガンロンパ』の役者さんは凄く豪華なんですが、こだわり等があるんですか?
はじめから「豪華声優陣をそろえよう」とか、そういうわけでは無かったです。
これまでのスパイクの作品では、声優さんのチョイスは開発会社さんにまずはお任せすることが多かったのですが、今回は社内開発ということで声のキャスティングも自分たちで一から行う事になりました。
シナリオやキャラクターが固まって、オーディションでサンプルボイスを聞いているうちに、だんだん「この人にお願いしたいな」というのが出てきて。コーディネイトいただいた方には、何度も無理をお願いしまして...。
―「モノクマ」役の大山のぶ代さんの起用はどのタイミングで決まったんですか?
キャラクターデザインが決まって、まず「モノクマ」の声をどうしよう、という話になりまして。悪い発言をしながらも、マスコット的な声を出せる人...と考えるなかで、大山さん挙がって来ました。
「もし頼めるんだったら、大山さんがいい」とということになり、無理を承知でお願いしてみたんです。意外にも「くわしくお話を聞かせてください」というお返事を頂戴でき、気がつけば大山さんのOKをいただけていました。
大山さんの方から「直接シナリオを見ながらお話をしたい」とのことで、打ち合わせにも積極的に参加してくれました。大山さんが来る! ということで、社内は大騒ぎでしたよ(笑)。
―齊藤さんその髪型は『ダンガンロンパ』の宣伝の為に変えたんですか?
もちろんPRの為です(笑)。「作品のために目立ちたいです!」と言ったら、「体張るんならいいよ」と上司に言われたのでモノクマと同じ色のツートンカラーにしました。
―アクセサリーとかも沢山付けていますが自己主張が強いんですか?
強いですね(笑)あとは、初見の方から覚えが良くなるのも理由のひとつです。
それにこういう格好をしていて「知能低そうだなー」と思わせておいて、たまにマトモな事を言う。そうすると、ぐっと評価が上がるんです。「コイツただの馬鹿じゃない」みたいな...。
真面目な服来てて「アイツ真面目な格好してるのに馬鹿だよな」よりは良いかな、と(笑)。
―『ダンガンロンパ』のタイトルの由来を聞いていいですか?
「ハイスピード推理アクション」というコンセプトは決まっていましたので、スピード感のあるタイトルが欲しかったんです。それで弾丸(ダンガン)のように論破(ロンパ)するという言葉をあわせました。はじめは漢字にするという案もあったんですが、重たいのでカタカナに。
―開発に苦労した点はありますか?
ビジュアル部分に苦労していますね。とにかくインパクトにこだわりました。
例えば学校の教室とか探索パートの部分は独自の2.5Dという表現をしています。教室に入ったときに、飛び出す絵本みたいに見える表現も、2.5Dの見せ方です。でもただ飛び出すだけじゃ面白くないので、部屋によって色々動きを付けたりと、毎回教室や部屋に入るたびに「どこか気持ちがいい」と思えるものを目指しました。
...また学校が舞台だと教室ばっかりになってしまうので、飽きが来ないようにフロア毎に色を変えてみたりもしています。
―開発中、手応えを感じたシーン等ありましたら教えてください
学級裁判にボイスが入った瞬間ですね。「これは止めどころが難しいな」って(笑)。
学級裁判のシーンはみんなが円卓に集まって「お前が犯人だろ!」みたいな感じで議論をするんですが、その部分は完全にフルボイス&リアルタイムに進行するので、臨場感が高まる出来になっていると思います。
―今後の意気込み等を聞いていいですか?
『ダンガンロンパ』というタイトルが無事完成しましたので、より多くのユーザーさんに手にとって頂けるようにしていきたいですね。「モノクマ」というキャラクターも確立できたので、今後はこの作品を育てて行けたら良いなと思ってます。
ニーズがあれば続編も考えたい...ですが、本当にクセのあるスタッフですので、普通に『ダンガンロンパ2』になるとは限りませんけど(笑)。
―ラスボスは「モノクマ」ですか?
「黒幕」はモノクマです。さらにモノクマの正体については...最是非遊んで確かめてみて下さい!
―それでは最後に、僕のブログではよく各ゲームハードにて論争が起きるのですがああいうのをみてどう思いますか?
そうですね・・・、熱くなるということはまだまだゲームに活気があるんだなとは思います。そういう論争があることでユーザー毎のニーズがリサーチが出来るとは思うんですよ。このゲーム機はこういうユーザーが多いんだな・・・とか・・・
なんかちょっと上から目線な感じで叩かれそうですね(笑)
齊藤祐一郎さん
PS2版で発売された『喧嘩番長2~フルスロットル~』のプランナーを経てプロデューサーへ。『ダンガンロンパ』では、初のオリジナル作のプロデュースに携わる。代表作
『喧嘩番長2~フルスロットル~』、『トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説』『東京フレンドパークⅡ 決定版 ~みんなで挑戦!体感アトラクション~』『くるくる◇プリンセス~ときめきフィギュア☆めざせ!バンクーバー~』『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』
<インタビュー後感想>
斉藤祐一郎さんとは「東京ゲームショウ」で初めてお会いしたんですよ。見た目と違って(笑)凄く真面目にゲームを作っている方なので是非ともと思い取材をお願いしたら快くOKしてもらいました。若い方なのに目標を持ってゲーム作りに励んでいる所が凄くカッコ良かったです。
なお、オレ的ゲーム速報にも、ここで書ききれなかった斉藤さんのインタビューを掲載しています。興味のある方は是非ご覧下さい!
(Jin115)