西伊豆感電:電気柵に注意喚起の看板なし 管理に不備か 

毎日新聞 2015年07月20日 20時35分(最終更新 07月20日 23時40分)

2人が感電死した現場周辺を調べる捜査員ら=静岡県西伊豆町で2015年7月20日午前10時38分、本社ヘリから喜屋武真之介撮影
2人が感電死した現場周辺を調べる捜査員ら=静岡県西伊豆町で2015年7月20日午前10時38分、本社ヘリから喜屋武真之介撮影

 ◇静岡県警下田署、業務上過失致死傷容疑などで捜査

 静岡県西伊豆町で獣害対策の電気柵付近で7人が感電し2人が死亡した事故で、電気柵には注意喚起する看板などが設置されていなかったことが20日、県警下田署への取材で分かった。子どもが誤って電線に触れて切れた可能性があり、同署は電気柵の管理状況の不備があったとみて、業務上過失致死傷などの容疑で調べている。

 この事故で死亡したのは川崎市宮前区東有馬1の尾崎匡友(まさとも)さん(42)と神奈川県逗子市新宿4の会社員、岩村知広さん(47)と判明。岩村さんの妻貴子さん(42)と長男海青(かいお)君(8)が重傷。尾崎さんの妻由香さん(43)と長男来空(らいく)君(8)、尾崎さんの親戚の西伊豆町の山本澄江さん(75)が軽傷。

 同署によると、19日午後4時半ごろ、尾崎さんと海青君、来空君が川遊びをしていたところ、感電し、さらに救助しようと川に入った4人も感電したとみられる。海青君は左手に重いやけどを負っており、川岸にある電気柵を触った後、電線が切れた可能性がある。その後、電線が川の水中に入って、電気が流れる状態になったため、次々と感電したとみられる。

 電気柵はアジサイの花壇をシカなど野生動物から守るため設置され、近くにある納屋の家庭用コンセント(100ボルト)を電源にしていた。電圧を調整するための変圧器は付いていたが、作動していたかは不明という。

 業界団体の日本電気さく協議会によると、電気柵は見やすい位置に「感電注意」などと表示することや、感電や漏電を防ぐための専用の電源装置が義務づけられており、30ボルト以上の電源を使用する場合は漏電遮断機を使用しなければならない。

 尾崎さんと岩村さん家族は友人で、一緒に西伊豆町に来ていた。電気柵は尾崎さんと山本さんの親戚の男性が設置していた。【松岡大地、長谷川隆、荒木涼子】

静岡・西伊豆の感電事故現場
静岡・西伊豆の感電事故現場

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