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東芝は上場廃止の刑に相当だが

東芝の粉飾決算事件は一応の幕引きのようだ。当然のこととして罰則が与えられるようだが、上場廃止という厳罰は議論すらされていない。株式市場に対する悪影響を懸念してのことだろう。

かつてであれば、粉飾決算もしくはそれに類似する経営上の失態の顛末は上場廃止と相場が決まっていたように思う。しかし、オリンパス事件に典型的なように、倒産に至れば別だが、そうでなければ上場廃止という刑は消滅したようだ。僕が記憶するかぎり、2004年に発覚した西武鉄道による株主に関する虚偽記載事件と2006年のライブドア事件が、上場廃止という極刑の最後だったのではないか。先日も証券市場の詳しい弁護士に対して「何で東芝が上場廃止やないんや」と質問とも意見ともつかない発言をしたところ、「その方が一般株主の利益を図れているから」との返答だった。「そうかなあ」と、その返答に納得しているわけではない。

というのも、僕としては、東芝が更生すればすぐに再上場させればいいのだから、その更生を見極めるまでの間、上場廃止は今回のような不正の再発を予防するための必要悪だと思っているからである。リーマンショック時、大銀行を潰せないから大量の公的資金を注入せざるをなかった。そのことへの反省に基づき、新たな金融規制が組み立てられようとしている。これと同様、金融庁や東証として、東芝という大企業を上場廃止にできないことへの反省があってもいいのではないかと思っている。

それはともかく、今回の東芝の事件は「むべなるかな」である。東日本大震災直後、東芝の幹部(副社長だったか)の原発に対する発言(東芝として「当然に」原発事業を継続するとの趣旨の発言)に対し、環境格付けで先駆的なグッドバンカーは「あまりにも高圧的な発言で、経営者の感性を疑ってしまったことから、東芝の環境格付けを下げるべき」と評価した。地震の少し前の東電もそうだし、業績が急速に悪化する前のパナソニックもそうだが、企業経営者の発言や行動を長年にわたり注意深く観察していると、「これはアカン企業や」とひらめくらしい。

僕としては、正直なところ、その時のグッドバンカーの判断には一応賛成したものの、「でも」と多少引っかかっていた。しかし、今回の事態となってはグッドバンカーのひらめきに感服せざるをえない。

それはともあれ、今回の東芝事件は3つの教訓を残した。
1つに、会社の経営とは形式ではないのだということである。東芝が「最先端」として取り入れた指名委員会等設置会社の経営組織が機能しなかったことは、形式論が好きな(形式さえ整えばそれでよしとする)日本の風潮への痛烈な皮肉である。

2つに、東芝のような大企業が陥る罠としての役所化である。役所化とは、本来ダイナミックであるべき企業の内部組織が茶坊主化してしまい、会社が内側から腐っていくことである。内部から取締役が生まれ、さらにそこから社長が生まれる組織では、ともすれば社内政治が最優先となり、社内というか村のルールと力関係が最大の効力を発揮する。この結果としての社内の権力闘争は、外部から見るとコップの中の嵐としか見えないのである。要するに権力闘争の当事者はまことに真剣なのだが、外部から見ると吉本新喜劇的(吉本さんご免なさい、毎週見てまっせだが)、ドタバタ喜劇以外の何ものでもない。

3つに、経営者の無能である。コップの中の嵐を戦ってトップに登り詰めたのだから、(村社会での政治能力はあるかもしれないが)真の経営能力や社会常識が欠如しているかもしれない。そう諦めざるをえない。

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