最低賃金引き上げに意欲
安倍首相が最低賃金引き上げに大変積極的な姿勢を示しているようです。報道もいろいろされていますが、昨日の経済財政諮問会議の甘利大臣の会見から、
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0723/interview.html
「経済の好循環を2巡目、3巡目と回していくためにも、賃金の上昇は重要であり、今年の春闘でも17年ぶりの引上げ幅となった。現在、最低賃金については審議会で審議されているところである。政府として最低賃金の大幅な引上げが可能となるよう、中小・小規模事業者の方々の環境整備や、サービス産業の生産性向上に全力を挙げることとする。関係大臣は、最低賃金引上げに向けてしっかり対応していただきたい。」
会議資料に、内閣府作成の「最低賃金について」というのがありますが、厚生労働省作成の資料が淡々と事実を並べているのに対し、何というか、官邸の意向をそのまま反映したかのように、大変前のめりな表現が頻出しています。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0723/shiryo_03.pdf
・一般的に景気回復の初期時点においては、物価上昇が賃金上昇に先行する傾向。特に、長きにわたるデフレからの脱却の局面にある現在、経営者には、いまだデフレマインドが残り、賃金引上げに消極的な面があり、労働分配率は低下を続けている。
• いわば、こうした「賃金の硬直性」はデフレ脱却・経済再生の重大なハードルとなりかねない。
• こうした状況を脱却し、持続可能なデフレ脱却・経済再生に移行するためには、名目賃金が物価上昇率以上に上がること、むしろ、賃金が物価上昇をリードしていくことが重要である。その際、政府が一定の役割を果たすことも重要である。
• 最低賃金に関しては、こうしたマクロ的観点、さらには、春季労使交渉によって17年ぶりの引上げ幅となった大・中堅企業、中小企業の賃金や昨年と比べて大幅に引き上げられた非正規労働者の時給とのバランスの観点からも対応が必要である。なお、その際、個々の中小企業等の経営を圧迫する面もあることから、円滑な価格転嫁対策、資金繰りの円滑化や生産性の向上に向けた事業転換を支える環境整備等を進めることが重要である。
この後のデータ説明のところも、
○最低賃金程度の時給で働く労働者は300~500万人程度(*)。最低賃金を引き上げる場合、最低賃金程度の時給で働く労働者の所得を引き上げるとともに、労働者全体の賃金の底上げにも効果。
とか、
○仮に最低賃金の引上げ(10~20円)により300~400万人程度の労働者の賃金が上昇した場合、総雇用者所得の増加額を試算すると400~900億円程度。さらに、労働者全体の賃金の底上げにも効果。
○安倍内閣におけるこれまでの最低賃金引上げ額は15~16円、2015年度の春季労使交渉における非正規労働者の賃金引上げ額は16.8円、17年ぶりの引上げ幅となった春季労使交渉の賃上げ率2.2%といったこれまでの成果を踏まえて、最低賃金を引き上げていく必要。
と、生活保護との逆転現象がなくなって引き上げの動力が弱まった最低賃金へのてこ入れに大変力が入っています。
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