「幼少期の育ち方が事件を起こしやすいか否かを左右するといえます。まず、父権的な家族はその傾向が強い。母親へのDVや子どもへの虐待のほか、親が子ども同士のケンカに双方の言い分を聞かず、頭ごなしに力で抑えつけようとするのも危険。『言葉によるコミュニケーションでの和解』を経験していないと、大人になって争いになった時、幼少時に親から受けていた暴力シーンが真っ先に再現され、脳がパニック状態になる。意見の食い違いがあると“怒ればいい”“手を出せばいい”と学んでしまっているため、突発的に粗暴な行動に走るのです」
とりわけ相手が近親者の場合は暴走が止まらない。“かわいさ余って憎さ百倍”ではないが、この“狂気”は身近な人にほど強く向けられてしまう。
兄弟、いとこへの嫉妬心が長年蓄積し、事件の引き金になることも多い。
「出来のいい兄ばかりを褒めるなど特別扱いしたり、逆に長男だからと兄に厳しく弟は緩く育てたりすると、潜在的な“不公平感”を募らせます。親戚関係も同様で、いとこと比較された経験などは、子ども心に深く大きな“傷”として残るのです」(長谷川氏)