
小さい頃、サンタクロースに欲しいゲームの説明書を前借してもらって眺めながらクリスマスを待っていた。
しかし、大人になってから出会う説明書はどうもときめきが足りない。大人もテンションがあがってしまうような説明書を作りたい、ということで自分の好きなもの・オレオを使って説明書を作ってみることにした。
ちぷたそ(ちぷたそ)
ちぷたその「ちぷ」は昔飼ってたハムスターの名前ですが、こんなにも自分の人生の後々まで影響するとは思いませんでした。文を書いたりイラストを描いたりしています。出来上がった瞬間にゴミになる工作が得意です。
説明書が好きだ。
3歳で「らんま1/2」を読み、漫画に目覚めたわたしは、母親に漫画を取り上げられた後、何故か洗濯機の説明書を読んでいたらしい。
また、少し大きくなって小学生になった頃、サンタクロースにお願いしてクリスマスプレゼントに頼んだゲームの説明書だけ先にもらって読んでいた。そして説明書を枕の下に入れて毎日眺めながらクリスマスイブが来るのを指折り待った。
こうやって書くと、めちゃめちゃ説明書が好きな人みたいに思ってしまうが、大人になってからはそうでもない。ゲームの説明書といった楽しいものは好きだが、そんなゲームの説明書も今ではダウンロード版の説明書もあるとのこと。紙の説明書が好きだったわたしとしては寂しさもある。
いいよね……紙の説明書……。
大人になってから出会う説明書にはあまり惹かれず、本当は読まなきゃいけないのに正直読まずに済ませてしまうことも多々ある。
それでも例えばお菓子の説明書とかだったら、今の自分はもちろん、漫画を取り上げられて仕方なく洗濯機の説明書を読んでいた3歳の自分も喜ぶんじゃないかな、と思った。
というわけで作ってみることにした。オレオの説明書を。
オレオの説明書を作ってみる
参考にしたのはうちにあった加湿空気清浄機。それでオレオの説明書を作ることにした。
なぜオレオか!?
オレオが美味しいからというのはもちろん、人によって食べかたが様々なお菓子だから。この機会にみんなどういう風に食べてるかを調査してみたいと思った。
ちなみに自分はオレオを剥がして食べずにいられない程度には分解する派である。
オレオ説明書表紙
オレオ説明書表紙部分。うん。説明書っぽくなったと思う。
ポイントがあるとすれば、”召し上がる前に、こちらの「取扱い説明書」は別に見なくても差し支えありません。”という文言。だって、見る必要ないもんね。
どんどん行きます。
オレオ説明書裏紙
オレオ説明書の裏表紙。商品情報は商品パッケージを見ながら文字を打った。
画像に関しては実際のオレオの写真と、パッケージをスキャンして切り抜いた画像を使用しているんだけど、なかなかうまくいったと思う。
そして説明書を作るためにオレオを食べながら商品撮影しているわたしに向かって夫が言った、「なんか寂しい子みたい……」の言葉が忘れられない。
説明書内容
「オレオのカロリーはどのくらいなの?」「オレオの名前の由来って?」「オレオをうまく外すには?」
「よくあるご質問」は勝手に自分が気になることをまとめてみた。
ついつい手が伸びてしまうオレオ。だがしかし、美味しいからと言って1パック(9枚入り)を開けてしまうと、だいたいアジの開き定食分くらいのカロリー(480キロカロリー)を摂取してしまうことになるらしい。
用法・容量を守って適切な摂取が求められる魔性のお菓子、オレオ。そういった意味でこの説明書の必要性がでてきたかもしれない。
オレオの名称については、「黄金の意味」「山の意味」「ココアクッキー(O)でクリーム(RE)ではさんだ」など、諸説あるそうです。
こんなときは?
説明書という存在がありがたがられるシチュエーションは「購入時」か「製品に何か問題があった時」だと思うので、そんな時のために「こんなときは?」のページを用意した。
項目は「ポケットに入れて叩いても増えない。ポケット内がぐちゃぐちゃな気がする。」「オレオを食べたらなくなってしまいましたが?」「鳩にあげたいのですが?」「お歯黒に使えませんか?」の4つ。オレオのついつい手が伸びてしまう美味しさにより、「食べたら無くなってしまった……」と嘆く人たちを救いたいと思いながら制作した。あと鳩に限らず動物にはダメ! ゼッタイ!
オレオの食べ方は無限大
そして気になる食べかた。友人たちに聞いてみたが、「分解して食べる派」が根強い人気だった。
分解する派の中でもさらに細分化されて、「分解してそのまま食べる」「分解してクリームをそぎ取る」「分解してクリームを均等にする」のほか、クリームだけ歯でそぎ落として先に食べちゃうなんて人もいた。オレオは無限大の可能性を秘めた、「可能性クッキー」だったんだな……!
あと、今はそのまま食べる派になったけど、幼い頃は分解して食べていたという人も多かった。
あと個人的に、オレオは分解して食べるけど、ビスコを分解して食べるという人を聞かないのは不思議でしょうがなかったが、知人と話し合って「大きさの違いだろう」という結論に落ち着いた。
そして、「牛乳につける」食べかた。実は今回、この企画用に初めて試したのだが、「なんで今までやらなかったんだろう!?」と後悔するくらいにおいしかった。ちょっとパサついたクッキーやクリームに牛乳が入り込み、絶妙なハーモニーを奏でる。浸し時間で食感が変わるところもイイ。
印刷して製本する
早速、オレオ説明書を製本化するために印刷した。なんだろう、この光景。もう一生見ることは無い光景なんだと思う。
世界に一つだけのオレオ説明書完成
……出来た。世界に一つだけのオリジナル「オレオの説明書」!!
中身だって、この通り!
難しいものを読みながらオレオを食べている人ではない。「オレオの説明書を読みながらオレオを食べる人」なのだ。
オレオの説明書を熟読し、用法・容量を守って正しく摂取している人。
やっぱり説明書は楽しくなくちゃ。あの頃の自分、見ているか。将来君が好きだったゲームの説明書はダウンロード化されて紙じゃなくなってしまうけれど、その代わりに自分でオレオの説明書を作っちゃうような大人になるんだぞー! 考え直すなら今だ。
他の説明書と組み合わせても違和感がない(と本人は思っている)。
日本の説明書は丁寧すぎるくらい丁寧だと思う。
フィンランド発ブランド、IKEAとニトリの家具を買って、それぞれの組み立てを見ていた際に説明書の違いに驚いたものだ。
ニトリの家具は部品ごとに順番で数字が振っており、丁寧すぎるくらいに解説が書いてあった。一方、IKEAの家具は部品もひとまとめになっており、文字はあまりなく、組み立ては絵を見ながら行うという感じだった。ニトリの方がわかりやすく感じたものの、IKEAの説明書は言葉が通じなくても理解できる! と感動したものだ。
丁寧すぎるぐらいの説明書を作る日本だから、お菓子とか、コンビニのおにぎりとかの説明書があってもいいじゃない! ちなみにコンビニのおにぎりの説明書にしなかったのは、いまだにコンビニおにぎりの海苔がうまく巻けないからという理由だった。