「昭和の刑事」はとにかくヤバい!?元刑事に聞いてみた
たとえば刑事ドラマ。昭和の刑事ドラマは暑苦しい熱血刑事が活躍するが、現在の刑事ドラマは草食系の刑事が主人公なことも多い。
今回はそんな昭和と平成の刑事ドラマの違いを見てみたいと思う。
上の画像は、昭和の刑事ドラマでよくある光景だ。熱血系の刑事がけん銃を持ち、背景は爆発。サングラスの刑事が持っているのはショットガンだ。こんなものを持ち歩いていたらどちらが犯人なのか分からなくなるが、ある意味ではおおらかな時代だったのかも知れない。
昭和の刑事ドラマの要素が凝縮したような1枚だ。平成の今ではあまり見られない雰囲気と言える。
熱血系の刑事は、たとえ犯人が武器を持っていても、恐れることなく追いかける。もちろん自分たちもけん銃を持っている。犯人は犯人らしく、熱血刑事は熱血刑事らしい格好をしている。ボスっぽい昭和の刑事はたいていスーツを着ていて、薄暗い工場の中でも常にサングラスをかける。
ちなみに、今回の企画を実現するにあたって参考にしたのが現在、『Hulu』で見ることのできる刑事ドラマ『ラストコップ』だ。
『ラストコップ』は昭和の刑事が平成の刑事とコンビを組み、活躍するドラマだ。唐沢寿明が演じる「京極浩介」は、昭和60年に犯人追跡中に爆発事故に遭い、昭和60年から30年間眠り続けていた熱血刑事だ。平成の刑事を演じる窪田正考がスーツなのに対し、京極は昭和の熱血刑事らしくスタジャンを着ている。
さらには、元刑事で現在は犯罪ジャーナリストの小川泰平さんにも話を聞いてみた。小川さんは『刑事ドラマあるあるはウソ!?ホント!? 元刑事が選ぶ本当にリアルな刑事ドラマ大全』という本も書いていて、刑事ドラマにも詳しい。
小川さんによると刑事がスタジャンを着ているのは理に適っているらしい。ギャンブル好きな犯人は多く、競馬や競艇場で尾行するときに目立たないようにするため、スタジャンを着ることもあったそうだ。
スタジャンはいいとして、昭和の刑事ドラマでよく見るこちらの格好は説明がつかない。目立つ。どこにいても目立つ。しかし、これが昭和の刑事ドラマだ。バイクから犯人を容赦なく撃つ。撃って撃って撃ちまくるのだ。犯人のアジトに乗り込み、銃を乱射する刑事は「カッコイイ」と素直に思ってしまうが、小川さんの見解はどうだろう。
もはやどっちが犯罪者なのか分からなくなってきた。それが昭和の刑事なのかも知れない。
熱血系刑事は体を張って犯人を追う。車の上にしがみつくなんて当たり前。犯人を捕まえようと思えば、これくらい普通なのだ。
ちなみに、ドラマ『ラストコップ』でも、主人公を演じる唐沢寿明が犯人の車にしがみつくシーンがある。最近の刑事ドラマではあまり見ない派手なアクションが見ものだ。
また、犯人を長いこと張り込むこともある。
アンパンに牛乳。犯人が尻尾を出すまで毎日張りこむことになる。こちらも昭和の刑事ドラマでは欠かすことのできないお馴染みのシーンだ。
そう聞くと徹夜続きのサラリーマンもアンパンを食べると元気になれるかも知れない。
そして昭和の刑事たちは銃を乱射しながら、いよいよ犯人を追いつめた。けん銃を片手に立て籠もる犯人。
犯人を追いつめれば、撃ち合いになる。お互いけん銃で容赦なく撃ち合うのだ。昭和の刑事ドラマにはこの銃撃戦は欠かせない。
全身黒の犯人、スタジャンや、スーツにサングラスの刑事たち。いったいどっちが悪者なのか、途中からチャンネルを合わせた人には分からないような撃ち合いが続く。
そして、容赦なく警察官が死ぬ。現代では現場に血が流れると大きなドラマになるが、この時代の刑事ドラマはバンバン死ぬ。おなじみの青い制服に身を包んだ警察官が出てきたら「撃たれる」と思ってもいいかもしれない。
名もなき警察官が撃たれても、何事もなかったかのように銃撃戦が続く。人が一人二人死んだところでストーリーに影響はない。昭和の刑事は犯人を捕まえることだけに、重きを置いていたのだ。そして何人部下が殉職しようと、上司は左遷されない。刑事のボスも、ある意味最強だった。
武器も豊富だった。犯人がナイフを持つくらいは当たり前だけれど、刑事・警察官も、いろいろな武器で応戦した。もはや、どっちが犯人なのか分からない。
「手りゅう弾」や「バズーカ砲」という単語が普通に出てくるのがスゴい。
昭和の時代じゃなくてよかったと心から思う。
そこで今回、様々な武器が登場する「昭和の刑事の格闘シーン」を再現してみた。