GEは人に優しい会社?

対談:安渕聖司(GEキャピタル社長)×篠田真貴子(東京糸井事務所CFO)【後編】

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GEでは、自分の強みと弱みを常にフィードバックされる。会社との信頼関係があれば、それを成長の糧とできる。GEの事例から新しい働き方・雇い方を考える。GEキャピタル社長の安渕聖司さんと「ほぼ日」の篠田真貴子さんの対談の後編。

 

厳しいフィードバックこそ「優しさ」である

安渕:GEは従業員に誠意を尽くす「人に優しい企業」です。個別の人事評価をしっかりやり、強みと弱みを詳細にフィードバックします。フィードバックを受けるか受けないかで、毎年の成長が違ってくるからです。フィードバックは簡単なことではありませんが、逆にマネジャー側のトレーニングにもなります。

 日本人のマネジャーに決定的に欠けている資質は、オーナーシップだと言われています。自分の部下なりチームの目標が達成できないのは、マネジャーに責任があります。それなのに、日本企業のマネジャーは、部下を評価するときに審査員になってしまう。オーナーシップの意識を持てるようになると、部下の育成に対する姿勢がまったく違ってきます。

篠田:会社と従業員の間に双方向のコミュニケーションがないと、アライアンスという考え方はまったく成り立たないのですね。

安渕 聖司
(さすぶち・せいじ)

日本GE株式会社代表取締役。GEキャピタル社長兼CEO。
早稲田大学政治経済学部卒後、三菱商事に入社。90年、ハーバード・ビジネススクールMBA修了。99年米投資ファンド、リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。2001年、UBS証券会社入行。06年、GEコマーシャル・ファイナンスにアジア地域事業開発担当副社長として入社。07年、GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼CEOに就任。09年より現職。著書に『GE世界基準の仕事術』がある。

安渕:そう思います。『ALLIANCE アライアンス』に書いてあるように、コミットメントしてもらったら、それに対する数値目標や進捗状況を緊密に話し合っていくべきです。GEには、さまざまな場面で1対1のコミュニケーションをするカルチャーがあります。しかし、日本企業は部下に仕事の指示を与えられないマネジャーが多いですね。仕事が複雑になればなるほど、マネジャーには全体像を詳細に把握し、従業員それぞれに細かく指示を与える能力が求められます。そのほうがコミットメントしたほうもやりやすいからです。

篠田:安渕さんのようなポジションの方でもフィードバックを受けるんですか。

安渕:もちろんです。以前はボスのオフィスが隣だったこともあって、何かあるとすぐにオフィスに呼ばれて、色々と助言をもらいました。例えば、GEに入って間もないころ、こんなことを言われました。

「さっきの会議の進行だが、あれじゃダメだよ。会議の主催者は君なのだから、みんなの意見を聞いて終わらせてはいけない。君がオーナーシップをもって会議の結論を出し、次のアクションに結びつけなくてはいけないよ」

納得しました。こういうことは、指摘されないとわからないし、放置してしまうとあとでとんでもないことになります。そんな具体的なレベルからフィードバックがありますね。それとは別に、自分のチームからも匿名で意見を聞く機会もあります。

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