観光ビジネスのリアル

プロから見て「日本の空港」は何がダメなのか

「おもてなし大国」なんて完全な幻想だ

空港から出ることができない!!(写真:bst2012 / PIXTA)

「酔っ払った時に乗るタクシー代として現金50ポンド(1万円弱)を定期入れに入れていたことを思い出したから、街に出られた。もし、50ポンドがなかったら成田空港で物乞いしなきゃいけなかったよ」

ロンドンの金融街・シティのパブで、イギリス人証券マンが日本人の筆者を見つけて愚痴ったエピソードだ。日本の玄関口である成田空港は、世界に例をみないダメ空港だ。どうしてこんなことが起きるのだろうか。

空港から出られない!

海外のどこかの国に「個人旅行」で行った時のことを考えてみよう。ガイドやホテルのスタッフなどの出迎えなしに自力で街に出ようとしたら、言葉のわからない国で自分が行きたい駅のスペルも覚束ないのに、切符を買うという行為がどれだけ心細いものか。窓口に駅員さんがいたならガイドブックやメモを見せてどうにかこうにか行き先を伝えられそうだが、自動販売機が相手では身振り手振りは通じない。これと同じことが、日本に着きたてホヤホヤの訪日客の身にそのまま降りかかってくる。

多くの訪日客は口々に「日本では空港から脱出するまでの手間がとても面倒」と不満を漏らす。「言葉がわからなければ、空港からホテルまでタクシーに乗ればいいじゃないか」という意見には同意する。しかし、日本でそれをそのまま適応できるかといえば、答えはノー。なぜなら、成田はもとより羽田からでさえも「空港から都心までのタクシー代が世界で最も高いレベル」だからだ。したがって、あくまで公共交通で街に出る、という前提で考えてみたい。

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