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 戦時中に日本に強制連行され過酷な労働を強いられたとして、中国人元労働者らが三菱マテリアル(旧三菱鉱業)などに損害賠償を求めている問題で、同社が「使用者としての歴史的責任」を認めて謝罪し、1人当たり10万元(約200万円)を支払うなど、訴訟外で和解する条件を示していることが中国側の複数の関係者の話でわかった。

 日本政府は、1972年の日中共同声明で中国との間の戦争賠償問題は「解決済み」との立場だ。同社が謝罪と実質的な賠償に踏み込もうとするのは、歴史問題が海外でのビジネス展開に与えるダメージを重く見て、けじめをつけたいとの経営判断があるとみられる。

 関係者によると、三菱側は「元労働者の人権が侵害された歴史的事実」と「使用者としての歴史的責任」を認め、「深甚なる謝罪と哀悼の意」を示す用意があると伝えた。