大内奏
2015年7月24日00時55分
最低賃金を時給20円上げると、労働者全体の所得は年900億円増える――。そんな試算を内閣府がまとめ、23日の経済財政諮問会議で報告した。政府は景気回復に向け、最低賃金を大きく引き上げたい考え。安倍晋三首相は会議のなかで「最低賃金の大幅な引き上げが可能となるよう、環境整備に全力をあげる。関係大臣はしっかり対応して欲しい」と指示した。
現在の最低賃金は、全国平均で780円。試算では、最低賃金で働く人は全国で約190万人いる。最低賃金を20円引き上げた場合、最低賃金に近い水準で働く人を含めた約400万人の所得が、最大で年900億円増えると見込んだ。ただ、日本全体の雇用者報酬は約250兆円あり、景気回復の効果は不透明だ。
一方、最低賃金の大幅引き上げは、特に中小企業にとって大きな負担になる。そのため政府はこの日、影響を受ける中小企業を対象に、全国の商工会などに相談窓口をつくり、資金繰りを支援すると発表した。
政府は2013年に最低賃金を平均15円、14年は同16円引き上げた。今年の引き上げ額は厚生労働省の審議会で議論されており、今月末に目安が決まる予定だ。(大内奏)
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