日経:英紙フィナンシャル・タイムズを1600億円で買収
毎日新聞 2015年07月23日 23時39分(最終更新 07月24日 01時19分)
日本経済新聞社は23日、英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズ・グループ(FT)を買収すると発表した。親会社の英ピアソンと合意した。買収額は8億4400万ポンド(約1600億円)で、日本のメディア企業による海外企業買収としては過去最大規模という。日経新聞は、経済ニュースを中心としたグローバル報道やデジタル対応を強化する。
FT紙は1888年創刊の名門。発行部数は、紙媒体・デジタル媒体の合計で約70万部。経済ニュースを中心に強みを発揮し、サーモンピンク色の独特の新聞用紙を使っていることでも知られる。ピアソンは、本業の教育事業に集中するため、FT事業の売却を決めたという。
世界的な有力経済紙としては米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)もあり、日経新聞はFT紙の買収で勢力を二分することになる。
日経新聞社は23日の発表文で、両紙の間で記者、編集者を連携させ、「世界的に例のない強力な経済メディアとしての進化を目指す」との方針を表明した。経済・ビジネス情報などデジタル事業の強化にも取り組むという。
近年、インターネットを通じた購読が増えるなど、新聞業界は「紙からデジタルへ」の構造変化に直面している。FT紙はデジタル版の有料読者が約50万人と紙媒体を含む全体の約7割を占め、日経新聞も電子版の読者が43万人を超えるなどデジタルへの対応を進めてきた。【谷川貴史】