アップル急落、約4兆円吹き飛ぶ-ヒット商品開発力に疑問符
2015/07/23 07:40 JST
(ブルームバーグ):22日の米株式市場でアップル 株が急落、時価総額にして320億ドル(約3兆9700億円)が吹き飛んだ。「iPhone(アイフォーン)」の販売が市場予想に届かなかったことから、絶対手に入れたいようなヒット商品を作り続けられるのかという懸念が再燃した。
4-6月(第3四半期)のアイフォーン販売は35%増の4750万台と、アナリスト予想の4880万台に届かなかった上、7-9月(第4四半期)売上高見通しも市場予想を下回ったため、株価は21日の時間外取引で急落。決算発表後としては、同社の技術革新や増収ペースの維持能力に厳しい目が向けられた2013年1月以来の大幅安となった。
22日のニューヨーク市場でアップル株は前日比4.2%安の125.22ドルで終了。時価総額は約7140億ドル。1日の下落率としては14年1月以来最大となった。
ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「アップルウオッチ」の発売を通じ腕時計型端末という全く新しい分野の開拓に成功したものの、その売り上げはまだわずかで、アップルが引き続き成長の原動力としてアイフォーンに頼らざるを得ないことが示唆されている。ブルームバーグの集計データによると、同社はアップルウオッチを4月の発売以降に少なくとも190万台販売した公算が大きいものの、アナリスト予想レンジの300万-500万台を下回っている。
「今後を問い掛け」パイパー・ジャフレーのアナリスト、ジーン・マンスター氏は「投資家は次の1年に利益がどれだけ増加する余地があるのか、今後どうなるのかを問い掛けている」と指摘した。
アップルが発表した手元資金は過去最大の2028億ドルと、1-3月の1940億ドルから増加した。内訳は現金が153億ドル、短期投資資産194億ドル、長期投資資産1681億ドルとなっている。
クックCEOは21日のアナリスト向け電話会議で、アイフォーンの旧モデル所有者の73%が昨年9月発売の最新機種にまだアップグレードしていないと指摘。
「アップグレードの余地が大きく、先行きに非常に強気なサインだと受け止めている」と発言。「『アンドロイド(グーグルの基本ソフト)』からの乗り換え率がこれまでの最高だったことも非常に喜ばしい」と話した。
昨年10-12月期との比較が鍵モルガン・スタンレーのアナリスト、ケイティ・フーバティ氏はクックCEOのこうした発言に対し、アップルはある大きな比較に直面していると指摘する。昨年10-12月期はアイフォーン販売台数が過去最高を記録している。
アイフォーン販売台数は今会計年度(2014年10月-15年9月)に入ってから3四半期で1億8300万台と、前年同期比で41%増加している。事情に詳しい複数の関係者によると、アップルのサプライヤーは既に、現行モデルの「6」と「6プラス」と同じサイズで次期モデルの初期生産を開始している。アップルは通常、9月に新型アイフォーンを売り出す。
BTIGのアナリスト、ウォルター・ピエシク氏は「投資家の注目は新型アイフォーンに向かうはずだ。7450万台が売れた14年10-12月期の記録を塗り替えられるかどうかが焦点となろう」と指摘した。
原題:Apple Plunge Erases $32 Billion as Product Concerns Reappear (3)(抜粋)
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更新日時: 2015/07/23 07:40 JST