韓国のヤン・ソンチョル元駐米大使は21日、金大中(キム・デジュン)元大統領が「乙女論」という北東アジア外交戦略を持っていたことを明らかにした。
ヤン元大使は最近発行された「国立外交員外交エピソード研究センター・オーラルヒストリー叢書」で、「金大中大統領礼賛ではないが、その慧眼(けいがん)と国際感覚のようなものが必要だと思う」とし、金元大統領の「乙女論」を紹介した。
金元大統領は「韓米関係は最も親しいが、結婚した間柄ではない。乙女が誰かと結婚したと聞けば、他の独身男性は関心を示さなくなるが、誰とでも親しくできるんだと心を開けば、皆が関心を示す。そういうことが重要だ」と話していたという。
金元大統領は「冷戦時代に韓国はロシア、中国との関係が非常に悪く、日本とは歴史問題でぎくしゃくしていたが、これらの国々と親しくなることがバランスにかなっている」とも語ったとされる。
ヤン元大使は金元大統領について、「5年間の任期を乙女のように行動したと見るべきかもしれない。言い換えれば、『私(韓国)は米国と完全に結婚してはいないから、私にもっと関心を持って』という姿勢だった」と振り返った。
ヤン元大使は「(金元大統領の乙女論は)特に中国のような国が一国たりとも拒否権を発動することがあってはならない状況だから、(各国と)接近すべきだというものだ。中国・ロシアとは価値観や政治体制が異なり、経済状況も異なるが、だからといって中国やロシアを無視して統一は可能だろうか」と問いかけた。
ヤン元大使は「(乙女論は)ある意味韓国的なリバランシング(再均衡)と言える。冷戦時代の対米一辺倒は誰の役にも立たない。米韓双方どちらのためにもならない」と強調した。