[東京 23日 ロイター] - 7月の東証REIT指数.TREITの急落を受け、J─REITに対する投資家の警戒姿勢が強まっている。これまで買い手の一翼を担っていたファンドの解約売りが、日銀の買い支えという「ぬるま湯」に浸かっていた市場に、冷や水を浴びせたためだ。
年内の米利上げ観測の強まりが売り材料として意識され、さらに連動して日本の長期金利が上がり始めれば、官制相場のもろさを露呈するような一段下落の可能性もありそうだ。
<きっかけはファンドの解約売り>
東証REIT指数が今年7月上旬に急落したのは、2日に出た国内機関投資家向け私募ファンドの解約売りがきっかけだった。
その日、東証REIT指数は1800ポイント前半で穏やかな値動きだったが、午後2時過ぎに50─60億円規模のファンド解約が出ると、急速に需給が悪化。一時1745ポイントへと下落した。その後はギリシャや中国など海外不安も加わり、9日には一時1623ポイントと、日銀が昨年10月に実施した追加緩和前の水準以下に下落した。
50─60億円規模の売りは売買代金が1日300億円前後のJ─REIT市場にとって小さくはないが、とりわけ大きくもない。急落を招いた背景には、日銀の買い支えへの過度な依存があったとみられている。
日銀が公表している買い入れ結果によると、6月末までに40回のREIT買い入れを実施した。平均すれば3日に1回のペース。1日あたりの買い入れ額は12─13億円で推移しているが、J─REIT市場の平均売買代金に占める割合は1月の2.9%から6月には4.3%に上昇した。
東証1部株式市場に置き換えてみれば、6月の日銀のREIT購入規模は1100億円程度に相当する。日本株市場における日銀のETF(上場投資信託)買いは6月で1日370億円程度であるから、J─REIT市場での日銀の「存在感」は極めて大きいことがわかる。
ソーシャルトレンド