今村優莉
2015年7月23日13時41分
あと1日戦争が長引いていたら、なかった命だった。1945年8月15日に出撃を命じられたが、終戦を迎えて命拾いした90歳の元特攻隊員が、長い沈黙を破り、自らの体験を若い世代に語り始めている。命が軽く扱われるのが戦争だという意識が、多くの人から薄れてきたと感じるからだ。
埼玉県熊谷市の沖松信夫さん(90)。日中全面戦争のきっかけとなった盧溝橋(ろこうきょう)事件から78年を迎えた今月7日、東京都内の中国大使館に講演者として招かれ、こう語った。
「日本国民として生まれたからには、死にたくないと言えば非国民とみなされた。特攻隊員は、命を惜しんではいけなかった」
「平穏な生活が一番幸せなんだと、特攻を命じられて初めてわかった」
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