編集委員・刀祢館正明
2015年7月22日09時15分
明治維新以降、1945年の敗戦まで対外戦争を繰り返してきた近代日本。外国理解や国際交流に欠かせない英語の教育すら、戦意高揚の道具とされていた実態を、英語教育史を研究している和歌山大学教授の江利川春雄さん(59)が明らかにした。
小・中学校、高等女学校、実業学校などで使われた英語教科書3千冊以上を約30年かけて収集・分析。「英語教科書は〈戦争〉をどう教えてきたか」(研究社)として出版した。
「兵隊さんの絵ですね。何と勇ましい姿でしょう!」(訳は江利川氏、以下同じ)。日清戦争後の1897年の中学生用のリーダーでは、凱旋(がいせん)した兵士の絵にそんな英文が添えられた。日露戦争後の1907年の小学校教科書では、戦争ごっこをする子どもたちの絵を使って発音練習。同じ年の女学校の教科書にも「戦争ごっこをしましょう。きっと面白いですよ」といった英文がある。
17年の中学生用の教科書では、対話形式で日露戦争の日本海海戦を説明した英文の後で、それを応用した自由英作文を出題。満州事変後の32年の中学・実業学校用の英作文教科書では、中国で爆死した3人の工兵「爆弾三勇士」を英文で説明した後、「あなたは彼等のやうな勇敢な兵隊になりますか」「はい、私は国の為に死ぬつもりです」という文章が対訳で登場する。
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